好投手ぞろいのドラフトが終了 的確に補強したのはどの球団!?

ベースボール・タイムズ

広島:投手偏重も仕方なしか!?

【ベースボール・タイムズ】

 リリーフ適性も見せる即戦力の大学生右腕・加藤拓也(慶大)が1位で、「高校ビッグ4」の一人に数えられた高橋が2位。以下、投手を5人指名するとともに、将来の正捕手候補として坂倉将吾(日大三高)を指名した。ただ、不満はある。2度外したクジ運に連覇を狙うチーム事情、さらに投高打低の今ドラフトの中では仕方なかったかもしれないが、来年23歳になる鈴木誠也が最年少の外野手にも新たな人材を加えても良かった。来年は高校生野手の指名に踏み切ってもらいたい。

巨人:野手が吉川のみでは……

【ベースボール・タイムズ】

 積極果敢にドラフトの目玉である田中を奪いに行ったが、結果的には即戦力内野手の吉川尚輝(中京学院大)が1位に収まった。その反動もあってか、2位以下は計6人の投手を指名。結果として、課題だった若手野手の補強は吉川のみで、空白の21歳以下の捕手と外野手には手付かずのままとなった。確かに即戦力投手が必要な事情は分かるが、高校生を鍛え上げるという気概も欲しかったところだ。台湾出身のリャオ・レンレイ(岡山共生高卒)が話題を集めるが、実力は未知数。バランスの悪さをインパクトでカバーしたいが……。

DeNA:未来に布石を打つ一方……

【ベースボール・タイムズ】

 1位のくじを2度外した後、濱口遥大(神奈川大)、水野滉也(東海大北海道)という左右の即戦力大学生投手を指名。投手陣の層を厚くするとともに、U−18侍ジャパンでも活躍した松尾大河(秀岳館高)、投手としても評価される高校通算63本塁打のスラッガー・細川成也(明秀日立高)の高校生野手を指名し、現在&未来の両方に布石を打った。できれば高校生捕手も加えたかったところだが、全体的なバランスは良い。ただ、まだ若手の数が不足している。来年以降のドラフトでも継続的に高校生の指名は続けるべきだろう。

阪神:超変革はまだまだ必要

【ベースボール・タイムズ】

 1位で和製大砲候補の大山悠輔(白鴎大)を指名し、会場を驚かせた金本ドラフト。その指名の是非は大学代表でも4番に座った男の今後の活躍次第となるが、若手野手は欠くことのできないチームの補強ポイントであったという意味では、間違った選択ではない。また、高校生の才木浩人(須磨翔風高)と濱地真澄(福岡大大濠高)、社会人の藤谷洸介(パナソニック)と21歳以下の右投手を3人指名したことは評価したいところ。だが、年齢バランスは若干良くなったものの、それ以外の21歳以下の左腕、捕手、内野手、外野手の数に変化はなし。まだまだ“超変革”は必要だ。

ヤクルト:1位寺島は大きな意味あり

【ベースボール・タイムズ】

 高校ナンバーワン左腕の寺島を一本釣りし、4位でも速球派左腕の中尾輝(名古屋経済大)を指名し、年齢的なものに加えて左右のバランスも取った。チーム事情を考えると1年目から先発ローテーションを担える即戦力投手が欲しいところだったが、長期的な視野に立てば「1位・寺島」は非常に意味のあるものになるだろう。そしてプロの水にさえ慣れれば、早い段階で1軍デビューできるはずだ。だが、徐々に高齢化してきた外野陣と畠山和洋の後継者については新たな人材を加えることはなかったことは来年の課題だろう。

中日:数に不安もバランスよし!

【ベースボール・タイムズ】

 1位で柳、2位で京田陽太(日大)を指名。前者は先発ローテーションとして1年目からの2ケタ勝利、後者も1軍デビューとレギュラー争いへの参戦が期待される。2人の加入で、確実にチームの戦力はアップするはずだ。年齢構成から見た時にそれ以上に評価したいのが、3位で高校生内野手の石垣雅海(酒田南高)、5位で投打両方において大きな可能性を持つ藤嶋健人(東邦高)を指名したこと。現チームには21歳以下の選手が明らかに不足しており、彼らはその穴を埋め、チームに新たな風を吹かせる存在になり得る。上位指名2人の活躍ととともに、3位以下では球団の育成力に期待したい。

(文・三和直樹、グラフィックデザイン・山崎理美)

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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