好投手ぞろいのドラフトが終了 的確に補強したのはどの球団!?

ベースボール・タイムズ
 2016年のプロ野球ドラフト会議が20日に行われ、注目の田中正義(創価大)は5球団競合の末、福岡ソフトバンクが交渉権を獲得。柳裕也(明大)は2球団が競合し、森繁和新監督率いる中日が当たりくじを引いた。佐々木千隼(桜美林大)は外れ1位に臨んだ5球団すべてが入札する異例の事態を経て、千葉ロッテが交渉権を得た。

「高校ビッグ4」の行方を見ると、埼玉西武が今井達也(作新学院高)、東京ヤクルトが寺島成輝(履正社高)、東北楽天が藤平尚真(横浜高)と、それぞれ一本釣りに成功。高橋昂也(花咲徳栄高)は広島の2位指名となった。

 全部で87人の逸材が本指名を受けた今年のドラフト。的確な補強をできたのは果たしてどの球団だったのか。以下で見ていこう。

日本ハム:育成重視で的確に埋めた!

【ベースボール・タイムズ】

 くじを2度外したことで指名を育成に転換。最重要課題であった左腕不足を解消するために、1位の堀瑞輝(広島新庄高)に始まり、5位・高山優希(大阪桐蔭高)、6位・山口裕次郎(履正社高)と高卒左腕を計3人指名した。同時に即戦力右腕を2人、その他、捕手、内野、外野と各ポジション、各年代にバランスよく新たな人員を加え、選手層は確実に厚くなった。元々、若手が多く、新陳代謝に優れたチームだが、改めて自分たちの育成力への自信があふれる指名だった。

ソフトバンク:精鋭と育成枠で争え!

【ベースボール・タイムズ】

 今ドラフトの目玉、10年に1人の逸材とも言える田中の交渉権獲得で、元々層の厚かった若手の先発右腕陣がさらに充実。そして2位で高校生左腕の古谷優人(江陵高)を指名したことでバランスを取った。さらに、将来性豊かな高校生捕手と高校生内野手を指名し、未来への準備も怠らなかった。支配下選手だけを見ると、若手の野手陣が不足気味にも感じるが、ソフトバンクの場合は育成枠を有効に活用し、3軍制もうまく機能している。欲を言えば即戦力の中継ぎ左腕が欲しかったが、そこは現有選手の成長に期待するということだろう。

ロッテ:佐々木獲得も右腕偏重

【ベースボール・タイムズ】

 2度目の抽選で即戦力右腕の佐々木を引き当て、2位でも本格派右腕の酒居知史(大阪ガス)、3位では地元育ちの大器・島孝明(東海大市原望洋高)を指名し、伊東勤監督にとっても満足のいくドラフトだっただろう。だが指名した投手6人のうち、左腕は4位で指名した社会人の土肥星也(大阪ガス)のみ。今ドラフトで少しでも右腕偏重傾向を解消すべきだったが、逆に右腕を5人増やす形となり、さらに“右寄り”に進む形となった。今年のドラフトだけを見ると成功だっただろうが、チームの弱点は埋まっていないということは肝に銘じておくべきだろう。

西武:理想的なドラフト指名も……

【ベースボール・タイムズ】

 投手、内野、外野、即戦力、将来性とバランスよく指名。その質も素晴らしく、甲子園優勝投手の今井、最速157キロの剛腕・中塚駿太(白鴎大)、一級品の守備力を持つ正遊撃手候補の源田壮亮(トヨタ自動車)、センス抜群の未来のリードオフマン・鈴木将平(静岡高)と楽しみな面々をそろえた。だがその一方で、左腕は依然として不足しており、25歳以下の捕手は森友哉のみ。この辺りは来年以降のドラフトでしっかりと埋めておきたい。

楽天:一本釣り&大量指名で成長待つ

【ベースボール・タイムズ】

 一本釣りに成功した超高校級右腕・藤平を筆頭に、右腕、捕手と高校生を指名。さらに大学、社会人を含めて支配下では12球団最多となる大量10人を指名し、チームの層は確実に厚くなった。今季も下位に低迷した楽天だが、昨年のドラフトで指名された多くの選手が1軍デビューを飾っており、数年後の黄金期到来も予感できる陣容となっている。バランスはいい。あとは若手が期待通りに成長できるかどうかだ。

オリックス:バランスよく指名も……

【ベースボール・タイムズ】

 社会人ナンバーワン右腕・山岡泰輔(東京ガス)の単独指名に成功し、2位でも即戦力の黒木優太(立正大)を指名する一方で、山本由伸(都城高)、山崎颯一郎(敦賀気比高)の高校生右腕を2人、さらに岡崎大輔(花咲徳栄高)、根本薫(霞ヶ浦高)といった高校生内野手、高校生外野手を1人ずつ指名。不足していた21歳以下の“素材”をそろえることに成功した。だが、欲を言えば投手陣が豊作だった今ドラフトで左腕の層を厚くしたかったところ。悪くはないが、課題は残っている。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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