救援防御率リーグ1位、竜投の今後は? タジマ神頼みか、又福コンビへの信頼か 

ベースボール・タイムズ

谷繁構想に入っている又吉&福谷

6月29日の巨人戦では決勝点となる押し出し四球を与えた又吉(奥) 【写真は共同】

 おのおのが独自のカラーを持っている竜リリーフ陣。谷繁元信監督をはじめ森繁和ヘッドコーチらの起用法が功を奏していると言えるが、谷繁監督が目指す完成形にはまだまだ達していない。ここまで挙げていない2人の投手、福谷浩司と又吉克樹。昨季、そして今季も、開幕当初にクローザーとセットアッパーに指名した2人が谷繁構想には入っている。

 抑え役としてスタートした福谷は、4月下旬から不安定なマウンドが続き、5月20日の巨人戦で敗戦投手となったことをきっかけに中継ぎに降格。さらに同31日の福岡ソフトバンク戦で1点リードの8回に登板して計4点を失い、ドラフト1位ルーキー・小笠原慎之介のプロ初勝利を消す失態を犯して2軍行き。一方の又吉も、5月12日の横浜DeNA戦で今季初黒星を喫すると、それから6試合の登板の間に3試合で敗戦投手に。同24日のDeNA戦で逆転負けを喫して2軍降格となった。

 ともに防御率は3点台中盤(福谷3.82、又吉3.45)。期待外れと言える数字だが、指揮官はこの2人を諦めてはいない。6月16日の千葉ロッテ戦で又吉が復帰登板し、「長いシーズンのことを考えると、又吉の力が必要になる。あそこで抑えることができれば、チームも本人も落ち着く」と谷繁監督。福谷に対しても、1軍復帰登板となった7月3日の阪神戦後に「自分でイメージしているとおりのピッチングができているならば調子は上向いていく」と期待を寄せた。

信頼と裏切りは紙一重

 先に挙げた祖父江や岡田といった面々が結果を残していながら、それでも谷繁監督が“又福コンビ”を重要視しているのは、2年前の鮮烈な印象を与えた投球があってのことだろう。だが、昨季は過度な期待が裏目に出てチームも低迷した。もちろん、この2人が復調すれば鬼に金棒。ファンも完全復活に期待を寄せている。

 だが、6月29日の巨人戦で、同点の場面から投入した又吉が2イニング目に押し出し四球で決勝点を与えたように、信頼と裏切りは紙一重でもある。有能なリリーバーがそろった今季、谷繁監督が“又吉コンビ”をいかに起用するのか。“タジマ神”にすべてを託すのか。長きに渡って正捕手を務めた谷繁監督ならではの継投の妙を、とくと拝みたい。

(文・高橋健二/ベースボール・タイムズ)

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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