ビーチバレー界に必要な発掘と環境整備 2大会連続で五輪行きを逃した日本女子

2020年東京五輪に向けて

 日本はリオ五輪出場を逃したが、ビーチバレーボールは五輪競技の中でも人気の高い競技だ。12年のロンドン五輪では観戦チケットの売上NO.1を記録し、リオ五輪においても国技であるサッカーに続いて、ビーチバレーボールの観戦チケットは人気を呼んでいる。20年の東京五輪でも世界各地からビーチバレーボールを観戦に訪れる外国人も多いと予想される。

 そんな中、日本に課せられた使命は上位進出だ。ホスト国として自動的に「1ペア」は出場枠を与えられるが、アジアや世界で結果を残し、もう1ペアの出場枠の獲得を目指していきたいところだろう。今回、突きつけられた厳しい現実を乗り越えていくためには、大型選手の発掘は急務となる。

 その打開策の一つとしてあげられるのが、16年から日本バレーボール協会が立ち上げた「ビーチチャレンジャーズ」という新しい発掘・育成事業だ。この新しい取り組みについて、日本バレーボール協会ビーチバレーボール事業部の川合庶強化委員長は、「今年からバレーボールのVリーグでは、退部する選手や移籍、転向希望の選手情報がいち早く開示されるようになりました。その選手を対象にビーチバレーボール事業部から積極的に声をかけていき、新天地での活動を推進していきます」と話す。

 現在は和田麻里江(元日立、現トヨタ自動車)、持丸結美子(元パイオニア)、二見梓(元東レ)、橋本涼加(元デンソー)の4名が在籍し、日本バレーボール協会が用意する環境で強化を図っていくという。

ビーチとインドアの融合の重要性

 和田、二見、橋本は180センチを超える大型選手であり、持丸は、かねてからバレーセンスに定評がある選手。牛尾監督も「ビーチチャレンジャーズ」の存在は、4年後に向け「明るい材料」として期待している。

「今回、代表に選出した石井・村上組が、今後のいいモデルケースになると思う。低身長でも戦えることを証明してきた村上の地力、経験と、V・プレミアリーグから転向した石井のポテンシャルが融合し、たった1年半という短い期間で成長を遂げてきた。『ビーチ・チャレンジャーズ』に在籍する大型選手と、ビーチでたたき上げられてきた経験のある選手の力が組み合わさっていけば、必ずアジアでも世界で勝てる勝機はあると考えている」

 今後は選手を続けながら、若手の指導や育成を視野に入れていくと村上は言う。

「日本には“有望”な選手がいると言われているけれど、本当に“有望”かどうかは、他人が決めるものではない。私は代表に選ばれたけれど、一度も“有望”と言われたことはないし、『本気で強くなりたい』という気持ちを持っている選手が“有望”だと思う。身長は関係なく、誰にでもチャンスはある。そういう選手がいるなら、私は日本が強くなるために自分の経験を通して、勝つために必要なことを伝えていきたい」

 残された時間は、あと4年。五輪への切符をつかむことができなかった日本は、新たな事業を皮切りに建て直すことができるだろうか。ビーチとインドア、優劣のない環境を築き上げていくことが、日本ビーチバレーボールの命運を握っている。

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著者プロフィール

ビーチバレースタイル/2009年4月創刊。国内トップ選手の情報、大会レポート、技術指導、トレーニング論など、ビーチバレーを「見る」「やる」両方の視点から、役立つ情報が満載。雑誌のほかに、ビーチバレースタイルオンラインとして、WEBサイトでも大会速報、大会レポートなど、ビーチバレーに関する報道を行っている。

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