武豊エイシンヒカリ、唯一の心配は馬場 奥野庸介のイスパーン賞展望

JRA-VAN

今季のフランス競馬を占うイスパーン賞

武豊とエイシンヒカリの欧州挑戦がいよいよ幕を開ける 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 エイシンヒカリの欧州デビュー戦となるイスパーン賞が24日(日本時間同日夜)に行われる。いつもはロンシャン競馬場、芝1850mを舞台とするイスパーン賞だが、今年は改修工事中のロンシャンからシャンティイ競馬場に場所を移し、距離も1800mとなる。仏ダービーや仏オークス(ともに距離は2100m)が行われるシャンティイはロンシャンと同じ右回り。1800m戦はゲートを出てから最初のコーナーまでの600mと、ゆったりとしたカーブがつくる600m、そして、ホームストレッチの600mの3つで構成される。

 コースはフラットに見えるが、主催者が発表する馬場の高低差は10mもあり、スタンド前の直線は徐々に登っている。このコースでは2004年までは3歳馬によるG1のジャンプラ賞(現在はシャンティイの1600m)が行われていた。馬場状態やメンバーによって勝ち時計はまちまちだが、古馬の一線級が揃った今回は、良馬場ならジャンプラ賞のレースレコード(1分46秒50)に近いタイムが予想される。

 フランスの一流馬にとってイスパーン賞は使い出しに最適の一戦であり、中間距離ということもあってマイラーと2000mのスペシャリストに加え、2400mを得意とする馬も参加する。マイラーが勝てばマイル路線のレベルが高くなり、2400m向きの馬が勝つようなら、その年の凱旋門賞が充実する。フランス競馬のシーズンを通した傾向を占うという意味でも見逃せないレースである。

香港カップに続く逃げ切りは決まるか

フランスの観客を驚かせる鮮やかな逃げを期待したい 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 前置きが長くなってしまったが、今年の主役がエイシンヒカリであることは間違いない。全馬が脚をためて直線ヨーイドンの競馬が多いフランスも、最近は日本帰りの騎手が持ち帰った、意表を突いた逃げが決まるレースが見られるようになった。

 しかし、スタンダードはやはり直線に懸ける競馬だ。逃げを意識する人馬がいたとしても(ディープインパクトが押し出されるように先頭に立った凱旋門賞の例を持ち出すまでもなく)、ゲートをゆっくりと出るように躾(しつけ)られている欧州馬がエイシンヒカリのペースを乱すとは考えづらい。鞍上もコースを熟知する武豊騎手とあれば、香港カップに続く逃げ切りが決まる可能性は高い。

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