「プロ入り後に誰よりも成長した」 西山秀二氏が語る“新井貴浩”という男

ベースボール・タイムズ

精神的な図太さとファンへの感謝

広島時代は西山さん、現阪神監督の金本と3人でよく試合後飲みに行ったという。そこでも新井さんらしいエピソードが…… 【写真は共同】

――西山さんが広島でプレーされているときは、試合が終わると金本選手、新井選手と3人でよく飲みに行ったりもしていたとのことですが?

 昔はね。新井も先輩との付き合いはうまかったんでしょうね。ただ、横浜でのデーゲームのあとに飯を食いに行ったときがあったんやけど、明日も試合があるし「よし帰ろう!」ってなって3人でホテルに戻ったんやけど、次の日「新井!酒臭いのう!」って冗談で言ったらホンマに酒臭かったことがあった。先輩の俺たちには「失礼します!」って部屋に戻ったようにみせてから、その後にまた飲みに行ってたてらしくて…、コーチに「お前酒臭いんや!」って本気で怒られてたことがあったね(笑)。そんな感じで、ミスをしたりしても試合後はケロッとした顔で飲みに行く。そういう図太さみたいのものがあったから、ここまでやって来れたという面はあると思いますよ。

――FAで阪神に移籍した際はファンから大きなバッシングを受けましたが、それでも11年に打点王に輝くなど活躍しました。そして15年からは再び広島に戻ってきました。

 それまで「生涯カープ」を宣言してたから、阪神に移籍したときはカープファンもかなり怒ってたよ。僕自身も当時は「それはどうなんや?」って気持ちがあったからね。だから、新井はカープファンに感謝しないといけない。またカープに戻って来れて、「頑張れ!」って言われてる訳やから、ホンマにありがたいよ。

名球会入りは「ホンマにすごい」

猛練習で鍛え上げてきた広島・新井。2000安打目はヤクルト成瀬のスライダーを豪快に引っ張っての二塁打となった 【写真は共同】

――広島復帰後は、阪神時代のスランプを脱して、特に今季は開幕から絶好調と言える活躍を見せていますが?

 今までは「ここで打ってくれ!」っていうところでなかなか打てへんかったけど、今年はチャンスでも打ててる感じはある。悪口を言わせてもらうなら、2000本のうちの1500本は2アウトランナーなしから意味のないライト前ヒットやからね(笑)。でも、それでも2000本は2000本。どんな形でも、どんな場面でも、ヒットを打つってことは大事だということですよ。

――史上47人目の通算2000安打。やろうと思ってできる記録ではないですからね?

 そうね。コツコツとでも、20年近くに渡って試合に出続けて、打ち続けることができたというのは、彼の努力の賜物ですよ。一番は、猛練習に耐えたということ。それを可能にした丈夫な身体を授けてくれた両親に感謝でしょうね。「2000安打」って言ったら、もう誰もが認めざるを得ない。マグレでは残せない数字ですからね。

――今後の新井選手に期待することは?そして次に会ったら何と声をかけますか?

 2000安打っていうのは、なんやかんや言ってもホンマにすごい。次は、300本塁打の達成に期待したい。今の調子なら今季中の達成も十分にあるでしょう。でもまぁ、僕自身は1000安打にも届いていませんから、もう偉そうなことは言えないので、これを機に彼とはもう会わないようにしようかな、と…。もう名球会の方ですからね。これを機に、新井さんとは距離を置こうと思います(笑)。

(取材・三和直樹/ベースボール・タイムズ)

「なんやかんやホンマにすごい」と新井の2000安打を称賛しつつ、「これを機に、新井さんとは距離を置こうと思います(笑)」ときつーい一言でインタビューを締めくくってくれました 【花田裕次郎/ベースボールタイムズ】

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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