本塁ブロック禁止で野球は変わる? 元コーチが新ルールを実演解説
昨季まで見られていた捕手による本塁ブロック。だが今季からこのようなプレーはルール改正により禁止された 【写真は共同】
「(本塁での衝突プレーについて)捕手がボールを持たずに得点しようとしている走者の走路をブロックすることはできない。もし捕手がボールを持たずに走者の走路をブロックしたと審判員が判断した場合、審判員はその走者にセーフを宣告する。
(中略)捕手は、滑り込んでくる走者に触球するときには不必要かつ激しい接触を避けるために最大限の努力をしなければならない」
(日本野球規則委員会発表 2016年度野球規則改正より)
原則として、捕手は走者の進塁を妨害するような守備体制、いわゆるブロック姿勢をとることが禁止となり、本塁ベース上でもタッチプレーを行うことになる。これまで危険なクロスプレーについては度々問題となっていたが、今回の明文化によって大けがを招くような危険な衝突がなくなることが予想される。
メジャーリーグではひと足早く昨季から危険なタックルと捕手の完全ブロックが禁止されており、その効果、影響を受けてNPBでもルール改正を決定。昨秋のフェニックス・リーグで試験的に導入した後、秋季キャンプ、そして今年の春季キャンプでは第1クールの段階から審判団が各球団を回って、新ルールの確認を行っている。
このルール変更で、具体的に本塁ベース上でのプレーはどう変わり、それによって試合全体にどのような影響が出るのか。今回、NPBでコーチ経験のあるプロ野球OB西山秀二(元巨人バッテリーコーチ他)、中根仁(元横浜外野守備走塁コーチ他)の両氏に、新旧の本塁ブロックの動きを実演してもらい、見解をうかがった。
「捕手」の動きの変化を動画で見る
(制作協力:ベースボール・タイムズ)
必然の“片手追いタッチ”と落球の増加
「捕手はベースの前でプレーを行わなくてはいけないということで、(送球を)捕ってから身体を回転させてタッチにいかないといけません。必然的に片手での“追いタッチ”になる」
本塁突入の際、捕手はこれまでベースをまたぐようにして送球を待ち、捕球の流れでレガースを走者側に向けるように“ブロック”していたが、これが今季から禁止となる。それゆえ、送球を待つのも、捕球するのもベースの前方で行わなければならない。西山氏は、身体の使い方の変化に「違和感はありますよ」としたうえで、さらに捕球について課題が増えるだろうと懸念する。
「“追いタッチ”は片手になりますが、キャッチャーミットは他のポジションのグラブに比べると片手でのタッチには適した形にはなっていません。走者の勢いのあるスライディングに弾かれ、ボールを落球してしまうケースが増えそうです」
これまでは絶対に落球することのないように右手でボールを握った上で、ミットごと両手で走者にタッチするのが基本だった。だがそれも今回のルール変更によって難しくなる。新たな技術の習得と向上が求められると同時に、片手でもボールが飛び出しにくい構造の新型ミットが登場する可能性もありそうだ。