寒さに負けないランニングウェア 3社が誇る保温テクノロジーを比較
ビギナーランナーには嬉しい存在
【南井正弘】
今シーズンのモデルは、エリやソデに新開発「ヒートシール」を採用。衣服内の空気を内部にとどめ、外気の侵入を防ぐことで、より暖かく快適な衣服内環境を実現。肌に密着することで、体感温度を高める効果をもたらすことに成功している。
実際にこのテクノロジーを採用した2015年秋冬シーズンのトップスとボトムスを着用して走ると、昨年の同テクノロジー搭載ウェアよりも格段に保温性が向上しているのをすぐに体感できる。気温が7℃ほどの日では3km程度走った時点では少し暑いくらい。気温が2度くらいの深夜に走った時でも少し走っただけで寒さは全く感じなくなった。
今回紹介する3ブランドでは最も保温性が高いので、気温が極端に寒い日のランには本当にピッタリだが、中上級者が速めのペースで走ったりする場合には保温力が高すぎるかもしれない。逆にいえばゆっくりペースのビギナーランナーには本当に嬉しい存在だ。
新たに採用されたヒートシール(オレンジ色のパーツ)が衣服内の空気を内側にとどめ、外気の侵入を防ぐことでより暖かく快適な衣服内環境を実現している 【南井正弘】
常に快適、吸汗速乾性も◎
【南井正弘】
最初にこのテクノロジー搭載モデルを着用したのは肌に刺すような北風が吹く夕方。同じランニングコースを走る他のランナーはアウターを着こんでいたが、筆者はこのトップスだけを着て走った。走り始めてしばらくすると、衣類内部が温まり、快適な状態に。6kmランの後半は汗をかくほどであったが、使用されるファブリックは吸汗速乾性にも優れているので、サラっとした肌さわりで不快感はあまりなかった。
保温性はアディダスのクライマヒートのほうが上だが、汗をかいた状態では、プーマのパワーウォームのほうが、快適性は高いと思われた。プーマのパワーウォームを採用したランニングアパレルは、速目のペースで走るランナーや発汗の多いユーザーにもオススメだ。
生地の裏側にセラミックプリントを施すことで、カラダから発せられる熱を活用し、常に快適な温度をキープする 【南井正弘】
優れた保温性と快適性を共存
【南井正弘】
実際にこのテクノロジーを採用したウェアを着て走ってみたが、気温5℃の日には2kmほどでウェア内部が快適な温度となり、それ以降は汗をかいたものの、不快さはあまり感じない。ナイキSPHERE独自の3D構造がこの快適な着心地に大きく貢献していると思われる。ランニング後のストレッチを終えるころには、汗も乾き、快適な衣類環境を提供してくれた。
今回トライしたナイキ エレメント スフィア ハーフジップは、防風性はないので寒い日には防風性に優れたシェルと組み合わせるのが望ましいが、春になって気温が上昇した際には、これ一着で走るのもいいだろう。このようにナイキSPHEREは、優れた保温性と快適性を共存させたテクノロジーということがいえるだろう。
肌が触れる部分はグリッド(格子状)の3D構造を採用。保温性に優れるだけでなく、肌の近くで空気を閉じ込めて、肌へのまとわりつきを防ぎ、汗をかいた場合でもサラッとした快適な着心地をキープしてくれる 【南井正弘】
問題点はセールのタイミングが早すぎること
ひとつ問題なのは、ファッション業界と同様にスポーツ業界もセールのタイミングが早すぎて、ランナーがこれらウェアを本当に必要とするときにはセールも終盤で、ほとんどのモデルがサイズ切れをおこしていたことである。(新たにスプリングカラーがラインアップされた、ナイキ エレメント スフィア ハーフジップを除く)