手倉森監督「最後まで悩みたい」 U−23日本代表メンバー発表会見 

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久保と南野は最後まで帯同可能

霜田技術委員長(左)は南野と久保が最終予選は大会最後まで帯同できることを明かした 【スポーツナビ】

――就任以来、70人を超える選手を選んで手元で見てきたと思う。メンバーを絞り込む上で重視した部分、悩んだ部分は?

手倉森 全員攻撃、全員守備を体現できるメンバーを強化して探してきて、すり込んできたつもりです。(五輪最終予選は)集中開催(なので)、長い戦いを戦い抜けるフィジカル・体力、限られたメンバーの中でいろいろなバリエーションをもたせるために、複数のポジションをできる選手、そういったところを見てトレーニングと選考をしてきました。

 難しかったところは、この世代70人くらいを呼んですり込んできたときに、みんながそれに、しっかりなびいてくれた。最後は50人に絞り込むのも大変だったし、こうして23人に絞り込むのも実際にまだ絞り切れていないくらいですけど。皆がこのチームのやろうとしていることに対して、ものすごく可能性をもたらしてくれた。こうして多くのメンバーを代表候補として底上げできたことは、最終予選もそうですけれど、新しい競争の中から選ばれた選手たちはより責任感が持てるだろうし、未来の日本サッカー界にとってもこの世代の多くの選手たちの意識付けができたことは良かったんじゃないかと思います。

――天皇杯組、海外組はどのタイミングで合流する?

霜田 スケジュールですけれども、天皇杯組は26日に試合があります。26日にもし敗退してしまった場合は、27日に合流をしてください、というお願いをしています。26日に勝ったチームは29日が試合です。そこで負けたチームは30日に来てもらっても、(石垣島合宿が)30日で終わってしまいますので、そこはチームと一緒に解散してもらって、1月2日から合流してくださいということでクラブと調整がついています。

 海外組の久保に関しては、12月の1週目で試合が終わって日本に帰国し、少しリラックスしながら休んでいますので、石垣島(合宿)の最初のタイミングから合流していいということでクラブから許可をいただいています。南野の方は、今日か明日ぐらいに日本に帰ってきますので、まずはしっかり休ませてほしいということで、年内は休養と調整を個人でしてもらいながら、1月2日に合流できればと思います。

――久保と南野について。最終予選の大会中の起用などについて何か制限はあるのか?

霜田 久保、南野の両名に関しては1月の最終予選は決勝戦が終わるまでチームに帯同してよいと許可を得ています。準決勝を勝ってしまえば、五輪の出場権は獲得できますので、そうなったらその際にまた話をしますけれど、基本的にはチームの活動に最後まで帯同する許可をもらっています。

球離れを速くしたサッカーをスピーディーにできるか

――残り2枠は2列目の選手を悩んでいるのか? 今回が2人少ない発表になったのはいつ頃から考えていたのか?

手倉森 パワーポイントを見ればどこが足りないのかは一目瞭然なので、見せるのはやめようかと思いました(笑)。いろいろと考えて、無得点に終わったカタール遠征の際に攻撃の武器、特徴のある選手を入れるべきか考えました。(現状の選考では)センターバックが1枚少ない状況ですけれど、その分を前に入れるかどうかをもう少し考えたい。21人の発表にしようと思ったのは、昨日まで悩んでも絞り切れなかったので、霜田さんに電話して21人の発表でいいですかと相談しました。あと2枠に対してはバックアップの15人にも、多くのバリエーションとオプションを生んでくれるメンバーが残っているので、もう少し考えたいと思います。

――今回から予選がセントラル方式となるが、具体的にどこに懸念があるか? グループリーグで対戦する北朝鮮、タイ、サウジアラビアはそれぞれどこを警戒している?

手倉森 セントラル方式は連戦の中でフィジカル・体力という部分で、しっかりと準備する必要があると思います。そこは少し注意しながら、メンバーの入れ替えもあるでしょうし、しっかりと考えて戦略を考えなければならないと思います。あとは心の体力・メンタルです。いろいろな重圧が掛かってくる。国民の期待も。そういうものに耐えうるチームの雰囲気作りがものすごく重要になると思います。それは活動するたびに意識していて、自チームでストレスをかけ合わないことが大事だと思います。ピッチ外でのマネジメント、試合への持って行き方、イメージを持たせなければならないと思います。

 ただ、昨年行われたオマーンのU−22アジアカップも、韓国・仁川で行われたアジア大会も試合が集中する大会でした。対戦国も経験しているメンバーだし、そこに慣れているメンバーを相当選んでいるつもりです。あと気をつけなければならないことは私がパニックにならないことです(笑)。

(対戦国は)それぞれ特徴のあるチームがグループリーグにいます。北朝鮮とタイは敏しょう性を持ったサッカーをしてくるでしょうし、日本に対するとものすごい力を発揮することを警戒しています。中盤のボールの奪い合いでどちらが上回れるか、出足の勝負になってくると思います。サウジアラビアはそれにプラスしてリーチの長さと高さがあります。3戦とも、球離れを速くしたサッカーをスピーディーにできるか。そのスピードを6戦維持できるような戦略、交代を考えて戦わなければいけないと思います。

浅野の決定力とスピードに期待

――FWの浅野に期待することは? 起用法はどう考えている?

手倉森 今年のJリーグでも途中出場して点を取っているところを見ると、スーパーサブとしての力が身についていると思います。チームの課題である決定力については、彼に懸かる期待は大きいと思います。彼の動き出しのタイミングの速さが、チームの攻撃の速さにつながると思いますから、スピーディーな攻撃のけん引者として頑張ってほしいです。

――海外組の2人は3月以来の招集となる。連係に不安もあると思うが期待することは?

手倉森 久保と南野は日常から日本を代表して活動している海外のプレーヤーです。日本代表としての覚悟が日頃から備わっている選手です。南野はA代表にも参加している。2人には海外での経験をこのチームにしっかりと落とし込んでほしい。ピッチ上のコンタクトやスピードを発揮してチームを引っ張ってほしいです。

――直前の石垣島合宿を含め、メンバーを全員そろえることができないことへの不安はないのか?

手倉森 1月2日から皆が集まるので、そこでまとまることができればと思います。何が起こるか分からないし、これまでの大会も何人もメンバーの入れ替えがありました。石垣島の合宿はそれに備える意味でも大事なものだと思っています。その時の仕事に集中するしかない。限られた時間と場所の中でやれることをしっかりトライするだけです。

――遠藤への評価とキャプテンとして期待していることは?

手倉森 この年代の年長者として、この年代で1番のJリーグでの実績(があり)、アンダーカテゴリからのキャプテンシーは今につながっていると思います。彼は2度、アンダーカテゴリで悔しい思いをしています。まだ世界に渡っていない。遠藤航(わたる)がね(笑)。キャプテンの名前を借りて、リオ五輪へ渡っていければと考えています。チームをまとめてくれる、自然体で引っ張ってくれているのが彼のキャプテンシーだと思います。いろいろな情報を提供してくれるし、そこに力まないのが彼の良いところだと思いますし、見習わなければならないと思います。

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