――実際にＭＭＡの試合を見ていて、シュートボクシングとの違い、難しさはどんなところですか？

　距離が全然違います。あとは寝技がプラスされるので、そこは完全に未知なる世界。でもそれもシュートボクシングにとっては、プラスにしかならないという感じですね。関節技をがっちり極められる技術は確実に生きてくるし、体も強くなったと思います。

――「体が強くなる」というのは、どんな点でですか？

　練習が基本的に対人練習なので。そこは大きく変わってくるところです。

――具体的にどんな部分が変わったとかありますか？

　背中が大きくなったと言われます。（笑）　肩周りというか。何がどこに効いているのかは分からないですけど、補強練習とかもきつくて、ジュニアのレスリング選手がやっている補強を一緒のメニューでやらせてもらっています。それにＡＡＣＣ（格闘技ジム）さんで浜崎朱加選手たちと総合や寝技の練習など、一連の練習をさせてもらっていて、その中でも最後の補強がきつくて、そういうのが効いているんだと思います。
　今までしてこなかった部分と言いますか、やりこんでトレーニングはしてこなかった部分ですね。サーキット練習とかはあるけど、対人での体を使った競走するトレーニングはなかったので。馬跳びなんかいつ以来だろうという感じです。（笑）

――練習相手は？

　ＡＡＣＣの浜崎朱加選手らと主にスパーリングさせて頂いています。練習では　スパーリングの時にいつも微調整してもらっていて、「ここに手があると危ないよ」とか、「こういう時はこう逃げるんだよ」と。「さっき言ったじゃん！」とか。でもできないよー、みたいな。（覚えるのは）早い方だと思うのですが、でも全然違いますね。覚えることが多くて日々悪戦苦闘しながら頑張ってます。

――頭が良くなりそうですね。

　回転が速くなりそうですよね。（笑）
　
――そういう部分はシュートボクシングでも応用できる？

　余裕ができると思います。ＳＢはタックルがあるのですが、投げることは出来ても寝技の展開はないので。その分、考える力をより一層打撃に向けられるので、闘いに余裕が出てくると思います。

――話題を変えまして大みそか興行についてです。今回が初めての参戦となりますが、格闘技を始めてから、大みそかの試合に出るという憧れはありましたか？

　やっぱり観る側でしたね。曙選手とボブ・サップ選手の試合は観ていました。

――今度はリングに立つ側になりましたが、心境の変化はありますか？

　ないと思っていたんですけど……。人間って変わるんですね。

――緊張している？

（緊張感は）ありますね。ピリピリしてきているところはあります。ただ、まだ１カ月あるので。ＳＢルールでの試合だと変わってくると思うんですけど、今回は（ＭＭＡが）初めてだというのが違いますね。

――不安と楽しみのバランスはどんな感じですか？

　試合が近づくにつれて、不安の方が大きくなるとは思うのですが、でも今は練習が楽しいので楽しみの方が大きいです。

――一緒に練習されている方も年末への憧れはありそうですよね。

　今、すごいですよね。どの大会に行っても、「ＲＩＺＩＮに出たい」というマイクパフォーマンスをされるじゃないですか？　ＲＩＺＩＮはＭＭＡが主だけど、曙選手vs.ボブ・サップ選手のＳＢルールをはじめ他のルールの試合もあるので、それがどうなるのかなと。私としては、乗り込んでいく形なので。

――やはり、ＳＢ世界王者として乗り込む気持ちが大きいと？

　そういう気持ちですね。

――対戦相手については？　映像などはご覧になりましたか？

　見ました。向こうもＭＭＡが初挑戦なので、寝技とかどこまでできるか分からないのですが、立ち技だけでいったら、正直、負ける気がしません。でもグローブも違うし、ルールも違うので、そこは警戒したいです。

――オープンフィンガーグローブは感覚が違う？

　違いますね。感じるのは、グローブって安心だなーと。（笑）　オープンフィンガーの方が、動きやすいんですけど、グローブの方が不思議と安心感があります。

――勝利に向けて、どのあたりを補強していきたい？

　打撃で倒せたら一番いいのですが、やっぱり寝技で一本を取りたいという気持ちもあります。総合の練習をしていれば体も強くなるし、今後のシュートボクシングにも生きてくると思うので。

――来年以降、シュートボクシング以外の大会でも挑戦したい気持ちはありますか？

　今のところはないですね。ＲＩＺＩＮの一発だけと思っています。ただ（練習をしていて）楽しいので、もしかしたら（ＭＭＡに）はまってしまうかもしれないですけど。

――ＲＩＺＩＮでは「女子格闘技を盛り上げたい」という話もあります。

　女子格闘技やＳＢをもっと広められたらと思い、今回の出場を決めました。そこは今回に懸けている部分もあるので、世の中のまだSBを知らない人に、少しでも知ってもらえたらいいなと思います。

――女子格闘技のここを見てほしいという部分は？

　華やかな部分ですかね。コスチューム一つとっても女性らしい魅せ方ができるし。それと女子は男子よりも耐えるし、すごく打たれ強い。そして、気が強いので、そういう部分は男子に勝っている選手多いと思います。

――最後になりますが試合への意気込みとファンへのメッセージを。

　対戦相手も未知数ですし、私もどこまでできるか分からないですが、だからこそ（観ている人を）驚かせられるような試合をたくらんでいます(笑)。飛びつき腕十字とかも狙いたいので、まあ、私が寝技でいくか立ち技でいくか。いろいろ楽しみにして頂ければと思います。
　あと華やかさで男子選手に負けるわけにはいかないので、入場では私らしくみんなでわいわいやりたいですね。今回はペンライトなど応援グッズも作ったので、ファンの方たちにはそこで一緒に振って楽しんでもらえればと思います！

（取材・文：尾柴広紀／スポーツナビ）