外国馬の債権引き取り◎ガンピット 「競馬巴投げ!第111回」1万円馬券勝負
競馬というのは、横にいるオッサンたちと持ちガネの奪い合い
[写真3]重賞で安定した成績を残しているナムラビクターだが…… 【写真:乗峯栄一】
「うっわー、100万馬券や! ウッヒョッヒョ、やっぱり真面目に生きとるとええことあるもんやなあ」と満面笑みで払戻所に進んでいったとき場内放送が流れる。
「えー、いつも負けてばかりいる堺市の岡部さん、いつもうなだれている宝塚市の大崎さん、あなたたちのおカネがいま一人の若者によって払戻しされようとしています。どうぞA-15番払戻し機にて存分に別れをお惜しみ下さい」
放送に驚くウヒョヒョ若者の後ろに岡部さんと大崎さんがヨロヨロ寄ってきて亡霊のように張り付く。
「三日後には会社の帳簿の穴が見つかってしまう。見つかっても仕方ない。自分でしでかしたことなんやから」と岡部さんはブツブツ呟く。
「“これは孫のミルク代やから、ジイちゃん、絶対手着けたらアカンっで”って、そう嫁が怒鳴っとりました。ええんです、家には帰れんでも。ワシには行く所があります。お若い方、バクチなんやから、どうぞ気にせず取ってください。……最近、よお天国のバアさんが呼んでくれとりますから」と大崎さんも震える声を出す。
若者の手にした100枚の万札の中には何枚か血染めの震える文字が入っている。
「ヤマダ製作所経理部の皆さん、ちょっとの間だけお借りします、ほんのちょっとです、オカベ」
「トミコ、わしもすぐそっち行くから、さいごのしょうぶ、オオサキ」
倉本聰は「そういう思い出のこもった札は使えない」と言ったが、この場合は逆だ。こういう紙幣はきっと最終レースにすべて使われるはずだ。こういう場合の100万は真の所有ではないといえる。
競馬というのは、横にいるオッサンたちと持ちガネの奪い合いをするゲームであることを忘れてはいけない。誰も買わない馬をこっそり買って大儲けするということももちろんあるが、そんな馬はめったに来ない。しかしもう一つ手がある。大金持ちたちがとんでもない馬ばかり、「もうワシャどの馬でもええんじゃ、とにかく、この手持ちのカネを処分したいんじゃ」と半狂乱にさせて、人気馬のオッズを急激に上げるという手もあるということを忘れてはいけない。
コパノ、タルマエ、ノンコ3強と思っていたけど
[写真4]前走好走したローマンレジェンド、復活気配か? 【写真:乗峯栄一】
とりあえず、写真の説明から。
[写真1]は今年フェブラリー、JBCと勝ってきたコパノリッキーである。
[写真2]は昨年のチャンビオンズCの勝者ホッコータルマエ(鞍上・幸英明)である。
このGI馬2頭と、関東の上り馬ノンコノユメの三つ巴人気かと思っていたが、金曜オッズではナムラビクターがその間に入り込んでいる。
[写真3]はそのナムラビクターである。このところ重賞で安定した成績は出しているが、この高評価はちょっと驚きである。
[写真4]は前走みやこSで好走したローマンレジェンド。
[写真5]は忘れてはいけない、3年前のJCダートを勝ったニホンピロアワーズである。
[写真6]は牝馬ながら交流重賞で好成績を残しているサンビスタ(これだけは今年のフェブラリー週の撮影)である。