神宮で躍動した早大・茂木と立命大・桜井 ドラフト指名された2人の活躍を振り返る

高木遊

桜井の出来に元プロ監督もお手上げ

21U侍ジャパンでの経験を生かして大きく成長した立命館大・桜井。今秋のドラフトで巨人から1位指名を受けると、今大会では大会タイとなる18奪三振を記録した 【写真は共同】

 明治神宮大会序盤で大きな話題をさらったのは、巨人がドラフト単独1位指名で獲得した立命館大の右腕・桜井だ。

 初戦となった東北福祉大戦で、これまでの大会記録に並ぶ18三振(空振り17、見逃し1)を奪った。
 仙台大・熊原健人投手(DeNA2位指名)ら好投手の多い東北地区を勝ち抜いて出場した東北福祉大が相手だったが、3球三振も5個数えるなど、9回を109球、3安打1死球、完封と圧倒した。

 これには今秋から東北福祉大の指揮を執る大塚光二監督(元西武外野手)も「うまいところにボールを落とされました。暖かい環境なら、もっとストレートの速さも出ると思うし(この日最速は144キロ)、球持ちも良く、打者たちは球速表示以上に速く感じたようです。プロで言うと、涌井くん(秀章/千葉ロッテ)みたいな感じかな」と話し、お手上げといった様子だった。

「シュート系とタイミングを外す2種類のチェンジアップに加え、今日は春から使い始めたスプリットも上手く低めに決まりました」と笑顔で語った桜井。不動のエースとなってからも新球習得に取り組むなど、高い向上心が快投を生み出した。

大きな影響を受けた21U侍ジャパン

 そのきっかけとなったのが、プロ・アマ混成の侍ジャパン21U日本代表として出場した昨年の21U W杯(台湾)だ。ここで投手コーチとして帯同した豊田清コーチ(巨人投手コーチ)から「この1球でいくらもらっているのかを考えろ。学生なら親御さんから学費をもらっているんだし、プロなら球団から給料をもらっている。だからキャッチボールの一球から大切にするんだ」と言われ、大きな影響を受けたと桜井は語る。

 中1日での先発となった準々決勝の亜細亜大戦では、序盤に喫した2失点が響き敗戦投手となったが、「たくさんの経験をさせてもらって、技術面と人間面で成長ができた4年間でした。自分は打たせて取るタイプなので、プロでは球速を意識せずにキレとコントロールを磨いて、活躍したいです」と話し、充実の4年間と将来像を語った。

 以前のインタビューでは、「野球では緊張しない。ゼミ発表の方が緊張しますよ」と笑い飛ばしていた桜井。その高い向上心と強心臓で、プロの世界でも太く長く、生き残っていく覚悟だ。

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著者プロフィール

1988年、東京都生まれ。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。関東を中心に全国各地の大学野球を精力的に取材。中学、高校、社会人などアマチュア野球全般やラグビーなども取材領域とする。

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