かくして迎えた５日の強化試合初戦。小久保ジャパンの打線は活発に得点を重ねた。３回に秋山翔吾（西武）の２ランで先制すると、４回には先頭の『４番・中村剛』が放った二塁打から松田宣浩（福岡ソフトバンク）のタイムリーなどで２点を追加。５回には山田哲人（東京ヤクルト）のタイムリー三塁打でもう１点を加えた。

　理想的な試合運びだった。８回には筒香嘉智（横浜ＤｅＮＡ）のダメ押し本塁打も飛び出した。１２安打８得点での快勝である。

　さて、４番中村剛だが、ヒットはあの二塁打のみで４打数１安打１四球。

　一方で６番スタメンだった中田はというと、第１打席で三塁手を強襲する安打を放つと、第２打席・四球、第３打席・三塁ライナー、第４打席では左翼線二塁打、第５打席・三振。４打数２安打１四球と結果を出した。

　稲葉篤紀・打撃コーチは「プレッシャーから解放されたんじゃないかな。彼のいいところが出ていたね」と中田を評した。日本ハムで先輩後輩の間柄だったこともあって、性格面も熟知している。

「アイツは自分にプレッシャーをかけすぎるところがある。今までは４番という意識が強過ぎた。６番になったことで『くそっ』とふてくされるようなことはないし、逆にリラックスして打席に立てていたように見えました」

　侍ジャパンに誕生した新打順に、稲葉コーチも手ごたえを感じている様子だ。

「最終的には監督が決めることだけど、今日の打線のバランスを見ているとこれがしっくり来ているようにも感じる。『６番・中田』のところにはランナーが溜まって回ってくるケースが多くなるし、つなげば（７番には）松田がいる。いずれも得点に絡んでくる。中田は何番を打つことになっても、やっぱりキーマンになるなと感じました」

　慣れない投手との対戦が続く国際大会では一発攻勢は望み薄。打者はしぶとく食らいつき、つなぎの野球で得点機を多くつくることが勝利への近道となる。６日の強化試合第２戦も４番・中村剛で臨む予定。中田にはクリーンアップを下から支える力持ちとなってもらい、「第２の４番打者」のような働きが求められる。