新体操、協会挙げての強化策が奏功 五輪3大会ぶりの個人出場へ

椎名桂子

五輪出場で日本のさらなる地位向上へ

団体でもリオ五輪の出場枠を獲得。さらに団体種目別が銅メダル獲得と、明るいニュースが続いた 【Getty Images】

 今回の世界選手権での五輪1枠確保によって、日本の新体操は活気づくだろう。世界でも上位をうかがえる選手たちが出てきたことにより、世界の新体操における日本の地位向上も間違いない。実際、今大会では、初出場の河崎羽珠愛(イオン)が種目別予選のリボンで16点台後半(16.783点)をマークしており、日本選手の評価は高まりつつある。五輪出場には、この流れをさらに加速する効果がある。

 新体操やフィギュアスケート、シンクロナイズドスイミングなどの採点競技は、結果が演技の印象に左右される部分も少なくない。フィギュアスケートは、“強い日本”という実績を十分築いてきただけに、スター選手が引退しても、次に続く選手が出てくる。しかし、実績のない国の選手が高評価を得るのは並大抵のことではない。その点で日本の新体操は長く苦しんできたが、リオ五輪の個人出場権を獲得したことにより、光明が射してきた。

 今大会では、個人よりも先に強化を進めてきた団体においても結果を残した。日本の「フェアリージャパンPOLA」が団体総合5位で、リオ五輪の出場枠を獲得。さらには、13日に行われた団体種目別決勝では、リボンで銅メダル獲得の快挙を成し遂げた。世界選手権での日本勢のメダル獲得は、1975年のマドリード大会以来40年ぶりのこと。00年のシドニー五輪では5位入賞を果たしながら、03年の世界選手権で惨敗し、アテネ五輪の出場を逃したどん底からはい上がってきた日本の新体操が、やっと世界と勝負できる土俵に上がれるところまできた証となる銅メダルだ。

 来年に迫ったリオ五輪には、新体操個人と団体両方に日本選手が出場する。そして、そこで「2020年の東京五輪での日本は侮れない」と世界に思わせる演技をきっと見せてくれるだろう。

 日本の新体操は、今、上昇気流に乗っている。

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著者プロフィール

1961年、熊本県生まれ。駒澤大学文学部卒業。出産後、主に育児雑誌・女性誌を中心にフリーライターとして活動。1998年より新体操の魅力に引き込まれ、日本のチャイルドからトップまでを見つめ続ける。2002年には新体操応援サイトを開設、2007年には100万アクセスを記録。2004年よりスポーツナビで新体操関係のニュース、コラムを執筆。 新体操の魅力を伝えるチャンスを常に求め続けている。

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