MLBから見たプレミア12の真実 『世界一を決める大会』の認識はない
日米野球でも辞退相次ぎお粗末な状況
親善試合の日米野球ですら直前の辞退が相次いだ。真剣勝負のプレミア12となれば、チームも選手も敬遠したくなるか 【Getty Images】
しかも、メジャーでは『人工芝でのプレーは身体への負担がかかり、ケガのリスクが高まる』というのが常識となっていて、それが選手たちの日米野球回避に影響を与えたとも言える。親善試合の日米野球ですらこんなありさまなのだから、真剣勝負が求められるプレミア12を敬遠するのはチームばかりでなく、選手も同じ気持ちだろう。
残念ながらMLBには、日本で叫ばれているような『プレミア12が野球世界一を決める新たな国際大会』という認識はない、というのがお分かりいただけただろうか。そして現在の勢力図においてはMLB、選手会の協力なくして真の国際大会は絶対に実現しないということを……。
WBSCに任せたままでは変わらない
しかも、ドミニカ共和国、ベネズエラ、プエルトリコに至っては大会開催時期がウインターリーグと完全にバッティングしてしまう。プレミア12にマイナーの有望選手たちを送り込んでしまうと、自国のリーグ運営にも影響しかねない状況だ。ある国の関係者から聞いたところでは、プレミア12の代表チームのキャプテンにほぼ引退状態の元メジャー選手を選んでいるらしい。まさにプレミア12は開幕前から完全に形骸化してしまっていると言わざるを得ない。
聞くところによると、プレミア12誕生の裏には、MLB、選手会主催のWBCを米国以外で開催するのは難しいとの考えから、自国開催できる新たな国際大会を標榜したNPBの並々ならぬ熱意があったという。だがWBSCを前面に押し出したとしても、下部組織のIBAF(国際野球連盟/WBSC、IBAFともにリカルド・フラッカーリ氏が会長を務める)がMLBから資金援助を受けていることを考えれば、やはりMLBにWBSCの権威は通用するはずもない。
早くも岐路に立ったプレミア12。このままWBSCに任せたままでは何も変わらないだろう。果たして、NPBはどんなアクションを起こすだろうか。