ドルトレヒトのスタメンへ近づいた際 開幕5試合で過ごした濃密な時間

中田徹

課題も出たが自信もつけた序盤戦

一度スタメンから外されるなど、際にとっては非常に濃い経験を積んだ5試合となった 【Getty Images Sport】

 NAC戦で右SBを務めたのは、MFフォルテスだった。しかし、チームは0−7という惨敗を喫し、フォルテスも機能しなかった。チームの建て直しと守備陣の整備から、オス戦で際に再びチャンスが巡ってきた。

「自分なりには良い流れで来ていると思います。一個課題をクリアするたびに壁が来て、それをうまく乗り越えたり、運が回ってきたりして、今日またスタメンという座を勝ち取れて試合に勝てた。それは大きい」

 ただし、オス戦の際は右SBとして先発したものの、前半は今ひとつの出来だった。何でもないパスがタッチを割ったり、相手に渡ったり、守備でも競り合いで体を自陣ゴール側へ入れられてしまって危ないシーンもあった。後半に入ってからも53分にパスを相手ストライカーへ渡してしまい、カウンターのピンチを招きかけたが、俊足を飛ばしてボールを回収し、事なきを得た。

「前半は、研ぎ澄まされていなかった。他の雑念なくフォーカスできている状態に入っていなかったです。エメン戦では、その状態に入っているのが自分でも分かっていて、戦う気持ちがすごかった。今日は、それとは違った感覚でした。落ち着き過ぎていた可能性はあります。先発だからあまり緊張しないようにと意識していたんですけれど、良い緊張を保てなかったのかもしれません。そこはまだ手探りです。プロとして、そういう面でも成長しないといけないと思っています」

 だが、一発のインターセプトで際はノッた。

「プレーが良くなりましたね。すぐノッてきました。相手があまり大きくなかったので競り合いは全部勝てましたし。ちょこまかしているのでボールを取りづらかったですけれど、うちのチームにも十分良い練習相手がいるので」

 開幕戦から5節までの際の起伏、そしてオス戦の90分間だけでも見せた彼の出入りの激しさを見ると、プロとしてまだビギナーなのかなと感じてしまう。

「本当に僕はまだまだ下の方の選手で、ぺーぺーですが、まだ伸びしろがすごくたくさんあると自分の中で思っている。自分の中で楽しみなことばかりです」

 非常に濃い経験を積んだ5試合。自信もついたし、課題もいっぱい出てきた。インターナショナルマッチウィークでリーグが中断になるこの2週間は、際にとって重要なものになるだろう。

「初めの1週間は肉体面などをレベルアップさせる期間。この1週間で筋トレもしてフィジカルも上げていく期間にして、その次の週は体を試合にうまく持って行くという計画です。この2週間は監督にとってチームビルディングの期間で、練習中にいろいろなことを言うと思うので、そこを理解して、これからも使われるように戦術理解もしつつ個人のレベルアップをしていく週だと思っています」

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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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