香川のゴールが示す昨季との違い ポテンシャルを示したドルトムント
象徴的だった香川の得点シーン
チームとしてのプレーが明確になり、香川のプレーも鮮明になってきている 【写真:ロイター/アフロ】
チームとしてのプレーが明確になったことで、香川のプレーも鮮明になってきている。一人でボールを持ち続けるシーンが極端に減り、パスを呼び込み、ボールをはたき、またスペースへと動いていく。味方とのなんでもない“遊び球”のパス交換をする余裕も出てきているのは良い兆候と言える。
また準備期間のコンディション調整がうまくいったのだろう。今の香川にはプレーに流れがある。かつての軽やかさだけではなく、そこにぶれない強さがようやくうまく融合されてきている印象を感じた。チーム内でテンポ良くボールが回り、リズムが出てくれば出てくるほど、香川のプレーもさえわたる。ゲームメークに頻繁に顔を出し、中継点をうまく作って決定的なパスを何度も繰り出し、機を見計らってゴール前にも出没。それぞれのプレーからは迷っている様子をまったく感じさせず、『ここにいればボールが来る』という確信をもってポジションをとれている。それは仲間への信頼があるからこそだ。
第2節インゴルシュタット戦(4−0)で香川自身が決めたチーム3点目のシーンは象徴的だと思われる。右サイドの深いところでオーバメヤンが二人に囲まれながらも粘ってヨーナス・ホフマンにパス、そこからペナルティーエリア内の香川にボールが渡り、ゴールが生まれた。
今後の課題は選手のやりくり
チームとしての今後の課題は、バックアップメンバーを含めた選手のやりくりとなる 【写真:ロイター/アフロ】
インゴルシュタット戦での34分のプレーでそれを感じさせられた。右サイドのマティアス・ギンターからのパスを香川がスルーした形で流れたところに、ムヒタリアンからダイレクトでパスが届いたシーンだ。ファーストタッチが少し乱れたので、シュートは枠を捉えることができなかったが、素晴らしいコンビネーションでの崩しだった。
この試合の香川に『西ドイツアルゲマイネ』は香川に2.5をつけ(編注:最高点は1)、「序盤は非常に良かった。ムヒタリアン(18分)、オーバメヤン(22分)の好チャンスを演出。34分のチャンスではフリーで抜け出しながら、うまくボールをコントロールすることができなかった。その後しばらくは目立たなくなったが、後半再び浮上し、いくつかのきれいなコンビネーションで魅せた。84分には好パフォーマンスが報いられる自身のゴールをマーク」と好評価。この調子を維持することができれば、チームの役割を果たしながら2桁得点は十分に狙えるはずだ。
チームとしての今後の課題はバックアップメンバーを含めた選手のやりくりだろう。序盤はある程度メンバーを固定して回すことになりそうだが、主力組がいつも好調でいられるとは限らない。相手が研究を重ねて勢いが弱まることは普通にある。そうした時にトゥヘルがどのような次善策をもたらすことができるのかに注目したい。いずれにしても、まだシーズンは始まったばかりだが、ドルトムントがバイエルンの独走優勝を阻止する筆頭候補になりうるポテンシャルを示したことは、ブンデスリーガ全体にとっても非常に喜ばしいことだろう。