佐藤嘉洋が引退「キックを愛している」=8.22Krushで魔裟斗とラストマッチ希望

Krush実行委員会

70キロの日本人に「期待している」

引退エキシビションマッチとして8月22日のKrush名古屋大会で魔裟斗戦を熱望した 【中原義史】

 自身が出場予定だった7月の「K−1 WORLD GP−70kg初代王座決定トーナメント」について質問を受けた佐藤は、すでに引退を決意した上で試合を見ていたことを明かし、同階級で世界に挑む日本人選手たちにエールを送った。

「7月4日の時点で引退を決めていたので、僕としては一観客として試合を見ていました。僕はプロのキックボクサーである前にキックオタクで、キックが好きでしょうがないんですよ。あの日は一ファンとして大会を見ていました。だからマラット・グレゴリアンが優勝した試合を見ても、世界一になろうとも思いませんでした。もう十分こういう相手と戦ってきただろう、と。グレゴリアンを見てもそういう気持ち(戦いたいという気持ち)にならなかったですね。

 トーナメントとしては日本人が闘志あふれるファイトで頑張ったけど外国人の壁に跳ね返されて、これは日本人にとっていい経験になったと思います。日本vs.世界という形で、70kgは世界の強豪に日本人が挑戦するという大会になったのかなと思います。日本人選手にとってはここからがスタートなんで。そこに自分が入れなかったことは寂しいですが、時代は流れていますし、これからの70kgの日本人選手に期待したいと心から応援しています」

 佐藤は8月22日(土)愛知・名古屋国際会議場イベントホールで開催される「Krush.57 〜in NAGOYA〜」で引退セレモニーを行う。「引退試合などのプランはないのか?」と聞かれた佐藤は、なんと同じくK−1MAXで活躍した魔裟斗との引退エキシビションマッチの夢をぶちあけた。

「引退試合をやるとするなら、来年のK−1で魔裟斗さんとエキシビションをやりたいな、と。もし実現したらお互い入場して対峙するだけで盛り上がるんじゃないかなと思います。僕は2008年の魔裟斗戦がK−1で最高の試合で、ピークだったと思うので、ぜひやりたいと思います。それ以外だったら引退試合はなくてもいいです」

「個性を生かして楽しく生きていく」

今後の夢について「選手を育てる以外から格闘技の人気を底上げするような活動をしたい」とコメント 【中原義史】

 2007年からプロファイターとしてだけでなく、接骨院やジムを経営する経営者としての一面を持っている佐藤。また2013年に作家デビューするなど、これまでも多岐に渡って活動を続けてきた。リングを降りても選手育成とは違う形で格闘技を盛り上げていくつもりだ。

「僕は経営者として2007年から動いていて、いろいろと勉強してきました。多くの元選手が選手を育てる方向で頑張っていて、僕は職人気質でもないし選手を育てる気持ちはないので、選手を育てる以外から格闘技の人気を底上げするような活動をしたいと思います。

(今後について)実は『佐藤嘉洋 1001KICK』というサイト(http://1001kick.com/)がスタートして、そこでいろいろな企画がスタートします。自分の脳みそと周りにいるクリエーターですごい人たちが集まったので、そのサイトを運営して、何かを伝える方で格闘技界に還元できたらいいなと思います。それでいずれは得できたらなと思います(笑)」

  そして佐藤はファンに最後のメッセージを送った。

「自分はかなり変わったタイプのファイターになれたなと思います。僕はK−1時代“3ない”ファイターだと言われていました。どういうことかと言うとスター性がない、華がない、オーラがない。この個性で傷ついたこともあるし、専門誌に『なんで佐藤はあんなに地味でつまらないのか?』と特集されるくらいの選手でした(苦笑)。でもこれこそ僕の個性なんですよ。K−1での実績では魔裟斗さんに及ばないけど、キックでは魔裟斗さんと遜色ない実績を残しました。それでこうなったのは僕が“3ない”ファイターだったからだと思います。

 でもこれからはこの個性を生かして楽しく、辛いこともありますけど、なるべく明るく生きていこうと思います。だからこれから何も変わらずお付き合いいただけたらと思います。今まで、とりあえず、ありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いします」

 これまでKrush・K−1のリングで数々の激闘を演じ、格闘技の歴史にその名を刻んだ佐藤。今後の新たな活動にも注目したい。

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