競泳界の新興勢力が“金の卵”を産む方法 ルネサンスが取り組んだ本気の組織改革
指導方針や保護者との接し方
競泳チームや指導方針の体系化など、組織改革の成果を語る村上コーチ 【スポーツナビ】
「選手、コーチ、保護者にはそれぞれの役割があるので、そのポジションをしっかりと守っていただくことをお願いしています。選手は未成年なので、人格形成や人間として成長していくためには、しつけ、教育の面でも言わなければならないことがあります。しかし、それ以上にコーチは親の部分に入りすぎてもよくないですし、保護者がコーチの領域に口を挟むということも困ります。その三角関係の信頼がないと選手は育たないし、崩れると選手もダメになります」
ルネサンスの選手コースにはトップスイマー、中堅、育成クラスがあるが、すべて同じ育成方針を持つ。全体で保護者会を実施し、個別の相談会を行うこともある。ここでも、スクールやコーチに依存することはなくなり、組織改革の成果が表れているのだ。
世界水泳に向けて、さらなる強化への青写真
ルネサンスの改革は始まったばかり。持田(左)、池江(右)は世界選手権でどのような泳ぎを見せるのか 【写真:田村翔/アフロスポーツ】
「日の丸を背負うので、責任が出てくると思います。日本の何万人という選手の代表として行くわけです。当然リレー選手に選ばれた責任を持って自分のベストタイムを出すという気持ちで臨んでほしいですね。そうすることでまた人間的にも成長すると思います」
ルネサンスとしても、2人を代表に送り出して終わりにするつもりはない。第2、第3の金の卵を生み出すべく、強化を続けていく。現状では村上コーチが所属していることで、亀戸クラブが強化拠点のようになっているが、会員制であるスポーツクラブとの兼ね合いもあり、選手が自由に施設を使えるわけではない。将来的には強化拠点となるスイミングスクールも視野に入れ、さらなる強化への青写真を描いている。
「ルネサンスはスイミングスクールとしては後発ですから、まだまだベースの部分はこれからです。単発の(優れた)選手だけでなく、底辺がしっかりしていくようなチームを作りたい。持田、池江がしっかりと結果を出して、皆さまから選手の位置づけを認めていただけるよう、今後も指導者一丸となり強化をしたいと思います。そして、日本の水泳界をリードしていくようなクラブになるよう努力してまいります」
水泳界の一大勢力になるべく、ルネサンスの改革はまだ始まったばかりだ。
(取材・文:豊田真大/スポーツナビ)