スピルバーグのピッチ走法を徹底分析 ラップタイムから見た英国G1の勝算

JRA-VAN

天皇賞・秋の末脚を再現するには?

天皇賞・秋の末脚再現へ、4コーナーをいかに力まずスムーズに回れるか 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 G1プリンスオブウェールズSの舞台は、最後の直線が約500mとなる英国アスコット競馬場10ハロン戦。同コースではチャンピオンSも施行されているが、TurfTraxで発表されているラップタイムから、参考となる2つのレースを取り上げてみよう。以下は勝ち馬が刻んだラスト5ハロンのラップタイムである。

2011年 チャンピオンS シリュスデゼーグル
12秒53−11秒77−11秒53−11秒90−12秒43

2013年 プリンスオブウェールズS アルカジーム
12秒18−12秒09−11秒18−11秒44−12秒35

 アルカジームは4コーナー区間に該当するラスト3ハロン目で一気のスパート。これにスピルバーグが巻き込まれる展開はあまり良くなかろう。それならばシリュスデゼーグルが刻んだラスト4ハロン目からスピードアップする展開の方が、4コーナーでのコーナリングの難易度が下がりレースはしやすいだろう。スピルバーグは2014年の天皇賞・秋でラスト600mを11秒3−11秒1−11秒3で駆け抜けたが、その末脚を再現するためには4コーナーをいかに力まずスムーズに回れるか、それに尽きるのではないか。また、レース序盤は追走力の弱点が軽減される、ゆったりとした流れになるのも好走の条件の一つであろう。

同厩の先輩馬ゼンノロブロイのリベンジを

力量的に好勝負を演じる可能性は高い 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 スピルバーグは先日の天皇賞・春を勝ったゴールドシップと同期。輝かしい海外実績を上げてきた近年屈指の強力世代の1頭であり、力量的に好勝負を演じる可能性は高い。このアスコット競馬場で好戦できると、最後の直線が約800mと非常に長いサンダウン競馬場での開催となる次走予定のエクリプスSでは、さらに大きな期待感が高まるのは間違いない。今からちょうど10年前に、この英国の地で2着と惜敗した同厩の先輩馬ゼンノロブロイのリベンジを、スピルバーグには是非とも成し遂げて欲しいところだ。残り50mで大外から馬群を捉える息の長い末脚に期待しようではないか。

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