二刀流を歩む大谷翔平と栗山監督の絆 指揮官の思いを伝えた言葉の力

週刊ベースボールONLINE

北海道から世界に羽ばたく姿を見守る指揮官

入団3年目の今シーズンは開幕投手も務めた。大谷は球界を代表する存在へと進化を続けている 【写真:BBM】

 昨年10月5日に大谷が162キロという日本人最高球速を示しても監督は「当然」という装いを崩さなかった。大谷だけではなく、日本ハムの監督として預かり起用する選手たちすべてに対して同じ姿勢だ。それは選手個々の内面、外面を総じて把握し、「俺が使うんだから、やって当然」というあえて放つような表現こそ、監督と選手の絆を深めていく一つの栗山流評価なのだ。

 二刀流はどこまで行くのだろう。「そろそろどちらかに」という声はこの3年で極端に少なくなり、いまや賛同され、背中を押す意見も広がっている。そんな世論に対して栗山監督は何を感じているのだろう。

 今シーズンは3年目の大谷を開幕投手に指名。そして同時に「内容、結果、姿、チームが優勝する上で必要なものすべて」と同時に要求した。日本のエースをつくり出すことが使命と自分に言い聞かせながら、ともに歩んできた月日。1つの階段を上らせるため、難しい試練をまた与えた。

「将来、お茶を飲みながら、今の選手たちが大きく活躍する姿を見たいよね、遠くから。思い出すだろうね、あの時、こうだった、ああだったって。それでいいと思うんだ」

 大谷が入団1年目の13年に栗山監督が話してくれた。きっと大谷翔平という無限大の選手が準備体操を始め、ゆっくりと大きく、そして一歩ずつ自らの力強さが増してきたことを自覚しながら、北海道という滑走路を走り出していくプロセスを栗山監督はいつでも見ている。

 互いの「思い」を「言葉」に表しながら見つめ続けている。もっと、もっと大きくなれ──。きょうもブルペンに入り、打撃練習を平然と行う大谷を眺めながら、栗山監督は静かに笑みを浮かべながら、うなずいている。

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