イチローとマーリンズの相乗効果に期待 明るい未来へ、踏み出した一歩

伊武弘多

高まる期待、活気づくファン

ベテランの経験と若手の勢いがかみ合えば、プレーオフ進出も夢ではない。イチロー効果に期待が高まる 【写真は共同】

 今季はイチローの他にもリーダーシップに定評のある31歳のマーティン・プラード内野手、昨季盗塁王のディー・ゴードン内野手、ジャイアンツで世界一に貢献したモースが打線に加わり、投手陣もレッズで主戦格だったマット・レートスらを獲得して戦力が大幅にアップ。フリサロ氏は「久しぶりに本気でプレーオフ進出を期待できるチームになった」と、空気の変化を感じている。関係者によると、キャンプ前にマイアミで行われたファン感謝イベントでは例年の同時期を大きく上回る数の前売りチケットが売れたという。キャンプ地でも多くのファンがイチローにサインを求める姿が恒例となり、活気づいている。

 これまでのところ、マーリンズとイチローは順調にお互いの一歩を踏み出したようだ。開幕後、マーリンズが下位に低迷したり、イチローが思うような結果が残せなかったときの起用法はどうなるか、不安要素はもちろんある。だが、どういう立場であれ、外野のすべてのポジションを守れる経験豊富な左打者が長いシーズンで果たす役割は少なくないように思える。イチローにとっても、生え抜きの若手選手が主力として順調に成長し、昨季終盤までプレーオフ争いに絡むまで力をつけたこのタイミングで加入したのは良かったのではないだろうか。

  マーリンズが過去にプレーオフに進んだのは1997年と03年だけだが、その2度ともワールドシリーズ制覇を成し遂げた。新戦力と伸び盛りの若手がかみ合い、将来の野球殿堂入りが確実視されるベテランもうまく機能するようだと、5年続けて負け越しているマーリンズも侮れない存在となる。そうなれば、大リーグ通算3000安打という偉業だけでなく、チャンピオンリングという新たな目標も見えてくるかもしれない。すべての球団が目標をワールドシリーズに置くこの時期に、シーズンの行方を予測するのは時期尚早だが、現時点では明るい未来を期待させる雰囲気が南フロリダの地に漂っている。そして、イチローの存在がその理由の1つであることは間違いない。

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