一定ペースが一番ラクに走れる! 「ペース走」マスターでラクして速く走ろう

青山剛
 陸上選手の場合、学生時代から400メートルトラックなどで徹底してペース感覚を養っていき、その延長線上でマラソンなどの「ロードレース」にチャレンジしていきます。しかし、一般ランナーはトラックでの練習はほとんど取り組まず、ましてや距離表示があるところでもあまり練習を行いませんので、これではペース感覚を養うことができません。ペース感覚がよくないということは、それだけ「無駄に頑張っている」走りになってしまいます。

 ペース感覚を養うために、少なくとも1キロごとに距離表示がある場所を探し、自分の感覚と実際のタイムとの誤差をなくしていくことで、マラソンなどの目標ペースで走れるようになります。最近はGPS機能付きの時計などでその瞬間のペースが表示されるものもありますので、ペース感覚にまだまだ自信がない方はこういうものでアシストしてもらうのも良いでしょう。

カメのように一定のペースで走り続けるべし

【青山剛】

 またもう一つの目的は、「一定のペースで走る」です。

 初心者ほど、この一定のペースで走ることがなかなかできず、結果疲れてしまう方が多いと思います。ホノルルマラソンなどを見ていると、スタート直後のペースは「全員4時間以内」で完走できるようなペースで走り出していますが、ほとんどの方は4時間では走れません。それくらい、大会になると舞い上がってオーバーペースにもなってしまうので注意が必要です。

 初心者ほど「行けるところまで頑張って、きつくなったら落として、また元気になってきたらペースを上げて……」といった感じになってしまうのですが、これではものすごく「エネルギー効率」が悪くなって、結果ゴールタイムは落ちてしまいます。いわば燃費が悪い走りになってしまうのです。
 まさにウサギとカメの童謡と同じです。マラソンのような長距離はカメのように速くはないけれど一定のペースで走り続けると、燃費も良く、結果ペースダウンも最小限に留められるので、ウサギより先にゴールできるのです。

 実際にペース走に取り組む注意点です。
・スタート前はストレッチ、体幹スイッチなどをしっかり行う。
・予定ペースが結構速い場合は、ペース走前後に10分以上ジョギングでウォーミングアップとクーリングダウン。
・なるべく平坦なコースで行う。
・周回コース、もしくは一往復5キロなどで給水補給などが定期的に行えるコースで行う。
・まずは目標大会の半分の距離を予定ペースで「ラクに一定で」走れるようにする。


 ペースが一定=平坦であれば心拍数も一定=体の負担も一定、となり、結果疲れにくい走りが持続できますので、大会の1〜2カ月前にくらいになったらペース走をぜひトレーニングに組み込んでいきましょう!


参考資料:11月28日発売・DVD「青山剛のパーフェクトランニング・トレーニング」
今回紹介したビルドアップ走を含むさまざまな練習方法、そしてストレッチ、体幹スイッチも完全収録しています。

2/2ページ

著者プロフィール

元プロトライアスリート。大学時にプロ活動を開始し、1999年世界選手権日本代表に選出される。その後トライアスリート中西真知子選手のコーチとなり、指導者としての活動をスタート。同選手を2004年アテネ五輪出場に導く。現在は、ランニング、トライアスロン、クロストレーニングのコーチとして競技者から初心者、子供、タレントまで幅広く指導。著書に『ランニング・コアメソッド』『DVDパーフェクトストレッチ100』など多数。(社)日本トライアスロン連合強化チーム・指導者養成委員 元日本オリンピック委員会・強化コーチ

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント