最終節、浦和は人事を尽くして奇跡を待つ “山岸の奇跡”がチームを奮い立たせる

神谷正明

奇跡の体現者・那須「最後まで諦めない」

横浜FM時代に最終節で逆転優勝を経験している那須は「最後まで諦めない」 【写真:伊藤真吾/アフロスポーツ】

 浦和には奇跡の体現者もいる。03年11月29日の2ndステージ最終節、那須大亮は横浜F・マリノスの一員として磐田と対峙(たいじ)していた経験を持つ。

「あの時は他力も他力。勝たないといけない試合で前半に10人になるし、0−1で負けているから逆転しないといけない。他会場は前半で鹿島(アントラーズ)が2−0だと聞いていたし、ジェフ(千葉、当時は市原)も勝っていると言うし」

 那須は当時をそう振り返って笑う。

 横浜FMは磐田に勝利した上で他会場の結果次第というのが優勝の条件だったが、いざ奇跡を起こさんと意気込んで挑んだ試合は前半15分にGKが退場、さらに1点のビハインドという最悪の展開になった。だが、最終節の試合がすべて終わった時、頂点に立っていたのは横浜FMだった。その経験があるからこそ那須も「最後まで諦めない」と力を込める。

奇跡は起こそうとして起こすもの

 奇跡はそう簡単に起きないから奇跡と言う。現実は決して優しくはない。だが、最善の努力を尽くさなければ、起きるものも起きない。選手たちがやれることは今シーズン、いや、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督が就任してからの3年間で積み重ねてきたものをすべて名古屋にぶつけ、持てる力を出し切って最終戦を白星で飾ることだ。

 納得のいくサッカーで結果を残せたら、あとは吉報が届くのを待つだけだ。

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著者プロフィール

1976年東京都出身。スポーツ専門のIT企業でサッカーの種々業務に従事し、ドイツW杯直前の2006年5月にフリーランスとして独立。現在は浦和レッズ、日本代表を継続的に取材しつつ、スポーツ翻訳にも携わる。

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