一番簡単なスピードアップ法とは? 初心者でも取り組みやすい「ビルドアップ走」

青山剛

走り終わった後は「きつい!!」と声が出る

【Getty Images】

 ビルドアップ走とは、後半にかけて徐々にスピードを上げていくトレーニングで、心肺機能の向上、速く走るための全身の筋力が刺激できます。いろいろなやり方がありますが、私がおすすめしている初心者でも取り組みやすいビルドアップ走を紹介します。

 まず距離が10キロの場合「10キロビルドアップ走」とします。初心者(5キロのタイムが分からない)の方は、7キロまではジョギング、そして残りの3キロをどんどんゴールに向けてできる限り上げていきます。走り終わった後は「きつい!!」と声が出るくらい頑張ります。

7割までの距離はラクに、残り3割は頑張る!

【青山剛】

 5キロやフルマラソン経験がある方は、下記が私がおすすめする「王道ビルドアップペース」です。前回紹介した「フルマラソン適正ペース」で7キロまで走り、残りの3キロを同じくどんどん上げていきます。だいたいの目標は、7キロまでのペースよりも最後の1キロは30秒以上速く走り抜けられるように頑張ります。

 例えば、5キロが25分、マラソンが4時間目標(もしくは自己記録)の方の場合、
7キロまでキロ5分30〜40秒ペースで走り、そこから1キロごとに5分20秒、5分10秒くらいに上げて、最後の1キロは5分を切れるように頑張る、というわけです。

未経験のランナーほど、その効果は絶大

 要約すると、走る全体の距離の7割はフルマラソンペースで走り、そこから残り3割の距離をどんどん上げて、最後は頑張るようにするのが、私が一般の方に進めているビルドアップ走のやり方です。

 走っている最中の目標は、「7割までの距離はラクに、残り3割の距離は頑張る」になります。できればラスト1キロのタイムを毎回比較していくと、その効果も分かってきます。

【青山剛】

 距離表示がない場合でも時間で行うことができます。

 例えば、60分ビルドアップ走だとしたら、40分前後までマラソンペース、残り20分をどんどん上げていけば、同じ効果が期待できます。

 これからの時期に実際取り組む場合、まずは室内でストレッチ、体幹スイッチエクササイズをしっかり行います。その後、10分前後は軽くジョギングでウォーミングアップをしスタート。走り終わった後は15分前後クーリングダウンとしてジョギングをしましょう。もちろん終わってからもストレッチは欠かさずに行います。

 頻度的には、多くて週1回、月に3〜4回トレーニングに取り入れるだけで、やったことがなかった方ほど効果は絶大です。3か月も続けたら、5キロのタイムがかなり上がっている=マラソンが速く走れるようになる準備が整うでしょう。

「ちょっとやる気がないなあ」という時は、ウォーミングアップのジョギングのまま止まらずにそのままある程度走り、少し上げたくなってきたら後半気分に任せて上げていくのもOKですので、気軽にビルドアップ走に取り組んでみましょう。

 今まで避けてきたゼーゼーハーハートレーニングをたまに行って、効率良く楽しくステップアップしていきましょう!
参考資料:11月28日発売・DVD「青山剛のパーフェクトランニング・トレーニング」
今回紹介したビルドアップ走を含む様々な練習方法、そしてストレッチ、体幹スイッチも完全収録しています。

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著者プロフィール

元プロトライアスリート。大学時にプロ活動を開始し、1999年世界選手権日本代表に選出される。その後トライアスリート中西真知子選手のコーチとなり、指導者としての活動をスタート。同選手を2004年アテネ五輪出場に導く。現在は、ランニング、トライアスロン、クロストレーニングのコーチとして競技者から初心者、子供、タレントまで幅広く指導。著書に『ランニング・コアメソッド』『DVDパーフェクトストレッチ100』など多数。(社)日本トライアスロン連合強化チーム・指導者養成委員 元日本オリンピック委員会・強化コーチ

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