正しくゆっくり走れば速くなる! LSDの正しい方法とは

青山剛

【青山剛】

 先に、これから紹介するいくつかのトレーニングメニューを「ペース(強度)」として表してみました。

1)ウォーキング
2)LSD、スロージョギング
3)ジョギング
4)テンポ(快調)走
5)ペース走
6)タイムトライアル、インターバル走など

※数字が大きいほど強度が高い

 すなわち、LSDとは「ウォーキングより速く、ジョギングより遅い」ということです。前回紹介したジョギングのペースより、少なくとも「1キロ30秒以上」は遅く走ることをおすすめします。極端に言えば「最遅で走る」意識です。

【青山剛】

 では、LSDにはどういった効果があるのでしょうか? まずは、体の内部では毛細血管網が発達するので、体の隅々まで酸素が運ばれ、疲労物質などが速やかに除去されやすくなります。

ということは……
・有酸素能力が向上する ⇒ スタミナがつく!
・疲れづらい体ができる ⇒ トレーニングが継続できる!
・走り込める体ができる ⇒ ケガをしづらくなる!

となりますので、「走りの基礎固め」だと思って取り組みましょう。

 しつこいようですが、ポイントは「ゆっくり」走ることです。速く走ってしまうと、上記の効果は半減してしまいます。

【青山剛】

 体を日本地図だと思って下さい。東京が心臓です。東京から全国各地(体の隅々)に「酸素」を車で運び、各地から「疲労物質」を車に積んで、撤収したいとします。まずは車を走らせる前に、東京から全国各地に「道路交通網=血管、毛細血管」を作らなければなりません。道路交通網を作る作業がLSDにあたります。

 道路交通網ができたところで、酸素を車に乗せて各地に運びます。酸素を車に乗せて「速くたくさん運べるように」するのが、簡単に言えばゼーゼーハーハーな強度の高いトレーニングです。

 従って、LSDをしっかり行わないで強度の高い練習をすると、交通網が渋滞してしまい=運びたい酸素や素早く戻したい疲労物質が滞ってしまう、というわけです。
 頑張って走っている割には、なかなかその効果が上がってこない方は、「基礎を作る練習=ウォーク・LSD・ジョギング」などが不足しているか、そのペースが速いようです。これらの基礎ができた上で、「テンポ走・ペース走・タイムトライアルなど、強度の高い練習」を行えば、効果が期待できます。

 最後に、LSDのL(長く)とはどれくらいの長さか? それは人ぞれぞれです。しかし、多くの効果を期待するなら「60分以上」を目安に考えてください。私が指導するランナーへは「90分以上から」をLSDとさせています。

 また、LSDもジョギング同様、距離ではなく時間で走ることでリラクッスしてゆっくり走れます。ゆっくり長く走って基礎を作り、それができてきてから強度を上げるからこそ、効率良く、速く走れるようになります。

 結果、正しくゆっくり走れば速くなる、となるわけです!

参考資料:「青山剛の走れるカラダになる」(日本文芸社)

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著者プロフィール

元プロトライアスリート。大学時にプロ活動を開始し、1999年世界選手権日本代表に選出される。その後トライアスリート中西真知子選手のコーチとなり、指導者としての活動をスタート。同選手を2004年アテネ五輪出場に導く。現在は、ランニング、トライアスロン、クロストレーニングのコーチとして競技者から初心者、子供、タレントまで幅広く指導。著書に『ランニング・コアメソッド』『DVDパーフェクトストレッチ100』など多数。(社)日本トライアスロン連合強化チーム・指導者養成委員 元日本オリンピック委員会・強化コーチ

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