スピードの出し過ぎに注意! 本当に正しいジョギングのペースとは

青山剛

「速くではなく、ラクに!」

【青山剛】

 まずは主観的な感覚として「速くではなく、ラクに!」がジョギングのポイントです。私の指導経験からいうと、初心者ほどジョギングのスピードが速すぎる傾向にあります。

「ランニング=苦しいもの」と学生時代から刷り込まれてきたせいか、頑張り過ぎている方ばかりです。「いかに疲れずに、いい意味でラクをしながら走り続けられるか」を意識して走れば、そんなにゼーゼーハーハーしないはずです。

 ゼーゼーハーハーしているということは、長く走り続けられないし、ランニングの基盤となる有酸素能力もつかないばかりか、脂肪燃焼効率も悪くなります。痩せたくて走っている方はなおさらNGです。

 では客観的に見て、どれくらいのペースが適正ゾーンか、これまでの指導経験から割り出してみました。

レベル別の適正なジョギングスピードとは

【Getty Images】

・走り始めて間もない初心者ランナー
1キロ 約6分30秒〜7分30秒

・フルマラソンを4時間以内 or 5キロを25分以内で走れるランナー
1キロ 約6分〜7分

・フルマラソンを3時間30分以内 or 5キロを22分30秒以内で走れるランナー
1キロ 約5分30秒〜6分30秒

・フルマラソンを3時間10分以内 or 5キロを20分以内で走れるランナー
1キロ 5分〜6分
 これを見て多くの方が「私のジョギングって速すぎるんだ!」と感じるはずです。上記適正ゾーンのペースの幅が約1分もあるのは、日々体調が違うため、ラクに感じるペースにも幅があるということです。おそらくマラソンで4時間を切れるようになるまでは、マラソンのレースペース=ジョギングのペースくらいになっていきます。

ポイントは距離ではなく「時間」で走ること

【青山剛】

 マラソン経験がまだない場合、苦しくてきついかもしれませんが、一度5キロを一生懸命頑張って走り、タイムを計測しておくことおすすめします。5キロのタイムが分かると、ジョギングやこれから紹介するトレーニングメニューの「適正ペース」が計算できますので、チャレンジしてみてください。

 もちろん、日々楽しくジョギングを続けていきたい方は、5キロの計測はいりませんので、その代わり「速くではなく、ラクに!」を意識して快適に走ってください。
 最後に、ジョギングは「どれくらい走ったら良いのか?」という疑問にお答えします。結論は「ラクで快適であれば、何分でも構わない」ということですが、基準は30〜60分のジョギングが快適に、ラクに、そしてコンスタントにできるようになることが大事です。

 ポイントは距離ではなく「時間」で走ること。ジョギングを距離目安で走ってしまうと、初心者ほど同じ距離、コースを走る時に「前回より速く走ろう!」としてしまい、結果「ラクに」ではなくなってきますので、時間目安で走るようにしましょう。

 往年のマラソンランナーで私が尊敬している瀬古俊彦さんも「ジョギングが一番大事なランニングのトレーニング」と言っていますので、正しいペース、方法でジョギングに取り組んでいきましょう!

参考資料:「青山剛のランニングの取扱説明書(トリセツ)」マイナビ発行

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著者プロフィール

元プロトライアスリート。大学時にプロ活動を開始し、1999年世界選手権日本代表に選出される。その後トライアスリート中西真知子選手のコーチとなり、指導者としての活動をスタート。同選手を2004年アテネ五輪出場に導く。現在は、ランニング、トライアスロン、クロストレーニングのコーチとして競技者から初心者、子供、タレントまで幅広く指導。著書に『ランニング・コアメソッド』『DVDパーフェクトストレッチ100』など多数。(社)日本トライアスロン連合強化チーム・指導者養成委員 元日本オリンピック委員会・強化コーチ

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