国際大会が地域に残すレガシーとは? 心に残す大会運営を4度の五輪から学ぶ
19年W杯、20年五輪、パラリンピックはどうする?
1998年の長野五輪は、施設だけでなく、多様なレガシーを開催地にもたらした(写真は開会式の模様) 【写真は共同】
小林氏は「(レガシーの)きっかけは、組織委員会が与えられますが、その先は主体となる団体や活動の参加者の役割になり、それが誰なのかをしっかり理解することが必要です。(レガシーを維持する)活動の仕組み、支援体制、そして強いビジョンと明確な目標を作り、10年、20年先を見据えてレガシーを残す取り組みが必要です」と考えを明らかにし、レガシーを残すためのポイントを解説。19年のW杯、20年五輪、パラリンピックは日本人にとって多様性を受け入れるきっかけになるという考えを示し、「そうした多様性を受け入れられるスポーツが(ノーサイドの精神がある)ラグビーであると思います」と述べて講演を締めくくった。
多様なレガシーが残されるW杯と五輪・パラリンピック
――レガシーを残すために19年W杯と20年五輪・パラリンピックの組織委員会で連携はないのでしょうか?
まだ現状はありません。ただ、20年の組織委員会では、大会後のレガシーを考える委員会を作ることになっています。将来的には競技団体の方にも入っていただいて一緒に将来のスポーツや、施設利用を考える仕組みができればと思っています。
――東京五輪、パラリンピックは障害者スポーツの理解を深めるためのきっかけになると思います。障害者スポーツに目を向けてもらうための取り組みについて何かお考えがあれば教えてください。
テニスの全米オープンで錦織圭選手が活躍したのは皆さんテレビでもご存知かと思います。確かに錦織選手は優勝できませんでしたが、他にも日本人は2人優勝しています。車いすテニスの国枝慎吾選手と上地結衣選手。2人ともシングルとダブルス両方とも優勝です。国枝選手は4回目のグランドスラムで、快挙ですがなかなかメディアでも取り上げてもらえない。メディアも含めて話題は、ほとんど錦織さんのことになっています。そういった障害者のスポーツについて、もう少し取り上げていただけるような働きかけができればと思っています。
――各国のボランティアの特徴を教えてください。また、日本人の特徴を活かせるボランティアはありますか?
長野では3万2000人のボランティアに仕事をしていただきました。ですが、その前のノルウェー・リレハンメルでは1万人が仕事をしました。ノルウェーでは五輪が行われる2週間、ずっと1人が仕事をできるように国にも制度があって、休みを取ってイベントに参加できる制度があります。
長野では、ボランティアの皆さんにお仕事があって、何回も人が変わったことで人数が増えてました。イタリア・トリノとかカナダ・バンクーバーも人数は1万7000人くらいの人たちが関わりましたが、やはり短いボランティアが多かったです。やはり国によってボランティアの意識(に違いがあり)、日本やノルウェーはボランティアをしようという人たちが非常に一生懸命でした。そういったところを生かした活動というのを五輪やW杯でしてもらいたいですね。
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協力:(公財)日本ラグビーフットボール協会