「驚異の男」に元3階級制覇王者が挑む=セルヒオ・マルチネスvsミゲル・コット
1年2カ月ぶりの実戦復帰となるマルチネス
1年2カ月ぶりの実戦となるWBC世界ミドル級王者セルヒオ・マルチネス。パンチ力もあり、アウトボクシングもできるなど総合力は高いが、近年は不安定な戦いも目立つ 【(C)NAOKI FUKUDA】
通算戦績55戦51勝(28KO)2敗2分のマルチネス。1997年のプロデビュー後は自国アルゼンチンで勝利を重ねたが、2002年からホームをスペインに移し、さらにディベラ・エンタテインメント社と契約してからの最近の7年間はアメリカを主戦場としている。08年に33歳でWBCのS・ウェルター級王座を獲得し、10年には35歳でミドル級王座も手に入れた。一度は本人の望まぬかたちで“ダイヤモンド王者”という肩書を授かりレギュラー王座から遠ざかったが、12年9月にフリオ・セサール・チャベス・ジュニア(メキシコ)を下してベルトを取り戻した。昨年4月には当時のWBA同級暫定王者マーティン・マレー(イギリス)を相手に11年ぶりに地元のリングに上がり、判定勝ちで初防衛を果たしている。身長178センチ、リーチ191センチとミドル級では平均的な体格だが、動きながらサウスポー・スタンスから速い左右のパンチを繋ぐタイプで、ポール・ウィリアムス(アメリカ)を左の一撃で失神させたようにパンチ力もある。接近戦を避けるためにアウトボクシングに徹することもできるなど、総合的な能力は高い。
ただし、近年は不安定な戦いが目立つ。マシュー・マックリン(イギリス)戦、チャベス戦、マレー戦と3試合続けてダウンを喫しているのだ。特にチャベス戦では最終回にあわや逆転KOかという痛烈なダウンを喫し、その際に膝を痛めるという不運も重なった。さらにマレー戦では拳を痛めるなど、このところ故障も続いている。そのため今回の試合が1年2カ月ぶりの実戦ということになる。「調整は順調にいった。膝や拳も心配ない」と陣営は好調を強調するが、やはり不安は拭えない。
小柄なコットの高い攻撃力が機能するか!?
170センチとミドル級では小柄な大会のコット。8センチの身長差があるマルチネスに対して、距離を潰して高い攻撃力を生かせるか 【(C)NAOKI FUKUDA】
ガードを固めて圧力をかけ中近距離で上下に強打を打ち分ける好戦的なスタイルの持ち主で、高い攻撃力を誇る。特にボディ打ちは巧みで、多くの試合で攻略の糸口になってきた。ただし、身長、リーチとも170センチのコットは中重量級では小柄な部類に入るだけに、初のミドル級の試合で体格差が大きなハンディキャップになる可能性もある。
ともにパンチ力があるだけに序盤から目の離せないスリリングな攻防が展開されそうだ。注目すべきはマルチネスの出方だ。足を使ったアウトボクシングをベースに戦うのか、それともリスクを承知で早い段階からKOを狙って出るのか。身長で8センチ、リーチで21センチ劣るコットはガードに留意しながら飛び込むチャンスを狙うことになるが、マルチネスがサウスポーであることを考えると距離を詰めることは容易な作業ではなさそうだ。左のボディブローが機能するかどうかがマルチネス攻略のカギになりそうだ。ちなみにオッズは2対1でマルチネス有利と出ている。
Written by ボクシングライター原功
◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆
“驚異の男”マルチネスと“3階級制覇”コットが激突!
6月8日(日)午前11:00[WOWOWメンバーズオンデマンド]※先行ライブ配信
6月16日(月)夜9:00[WOWOWライブ]
<WBC世界ミドル級タイトルマッチ>
セルヒオ・マルチネス(アルゼンチン)/WBC世界ミドル級チャンピオン
ミゲール・コット(プエルトリコ)/元3階級制覇チャンピオン
★エキサイトマッチ〜世界プロボクシング
日本の亀海喜寛が4階級制覇ゲレロに挑む!
6月22日(日)午前11:00[WOWOWメンバーズオンデマンド]※先行ライブ配信
6月23日(月)夜8:00[WOWOWライブ]※放送時間がいつもと異なりますのでご注意ください。
<ウェルター級12回戦>
ロバート・ゲレロ(アメリカ)/元4階級制覇チャンピオン
亀海喜寛(帝拳)/IBF世界ウェルター級7位
<WBO世界フェザー級王座決定戦>
ゲイリー・ラッセル(アメリカ)/WBO世界フェザー級1位
ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)/北京・ロンドン五輪 金メダリスト
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