体操男子、内村に続く選手は現れたか 課題の種目別では大学生が躍進

椎名桂子

野々村が王者・内村を追い上げ2位

全日本体操は内村(写真中央)が7連覇を達成。2位は追い上げを見せた野々村(同左)。加藤(同右)は3位だった 【榊原嘉徳】

 第68回全日本体操個人総合選手権が9〜11日に国立代々木競技場第一体育館で行われ、内村航平(コナミ)が史上初の7連覇を達成した。大会直前に左肩を負傷して痛みのある中で、2日間とも跳馬では珍しく大きなミスがあり、内村にしては181.200点と得点が伸びなかった。しかし、苦しみながらも王者の座を譲ることはなく、貫録と意地を見せた。

 苦境の王者・内村を激しく追い上げたのは、野々村笙吾(順天堂大)だった。昨年のNHK杯では内村、加藤凌平(順天堂大)に次ぐ3位。加藤との差は0.275点という僅差だったが、2013年世界選手権(ベルギー・アントワープ)で日本代表の個人総合枠が「2」だったため、惜しくも代表入りできなかった選手だ。

 紙一重の差で野々村を上回った加藤が、世界選手権で銀メダルを獲得したことで、「野々村も、世界でメダルの可能性がある」と言われていた。内村も、自分を脅かす存在になりそうな選手として、加藤と並んで野々村の名前を挙げたこともあるほど、その実力は多くの人が認めるところだった。

ますます面白さを増す個人総合

自身初の世界選手権代表入りが見えてきた野々村 【榊原嘉徳】

 しかし、野々村は完全なオールラウンダー型の選手で、個人総合で枠にもれてしまうと、種目別で派遣標準得点(世界でも優勝を狙えるレベルの高得点が設定されている)を突破して1位になることは難しく、昨年までは代表入りできていなかったのだ。

 今年は、世界選手権代表の個人総合枠が「3」ある。その時点ですでに、野々村が代表入りする可能性は濃厚になっていた。そして、今大会2日間の総合得点で内村に1.650点差と迫った上に、加藤を2.200点上回る2位という最高の形で実力を証明してみせた。
 また、昨年まで個人総合で上位争いの常連だった山室光史、田中佑典(ともにコナミ)らが今大会ではそれぞれ8位、9位と奮わず、世界選手権代表に野々村が初選出される可能性は大いに高まったと言えるだろう。

 もっとも、代表選考の際は、今大会の予選と決勝の合計点の半分と、6月7、8日に行われるNHK杯(東京・国立代々木競技場第一体育館)の得点を加算して判断される。体操は大きな過失があれば、どんな名選手でも大きな減点になる。それだけに、現時点で上位にいてもまだ安心はできないし、逆に下位からの巻き返しのチャンスも残っている。野々村の躍進で、ますます面白くなってきた個人総合枠の争いは、6月のNHK杯まで目が離せない。

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著者プロフィール

1961年、熊本県生まれ。駒澤大学文学部卒業。出産後、主に育児雑誌・女性誌を中心にフリーライターとして活動。1998年より新体操の魅力に引き込まれ、日本のチャイルドからトップまでを見つめ続ける。2002年には新体操応援サイトを開設、2007年には100万アクセスを記録。2004年よりスポーツナビで新体操関係のニュース、コラムを執筆。 新体操の魅力を伝えるチャンスを常に求め続けている。

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