気になるのは、ひと叩きされたあとの変わり身だ。

「レース後１週間ほどイライラしていましたが、それが抜けてからは、後肢の踏み込みが以前のようにしっかりとしてきました。減っていた体も、いつものレース前くらいには戻ってきています。１度使ったことで中身がだいぶできてきましたし、かなり上積みはあると思います」

　フェノーメノの長所も聞いてみた。

「良い意味でＯＮとＯＦＦがはっきりしています。集中しない時は本当に集中しなくて、走っている最中も気が散っています（笑）。いざとなったらボンとスイッチが入るんですけどね。だからこそ、長い距離も持つと思います」

　遊びのある走りと、ここぞという時の集中力が、フェノーメノの強さの秘密のようだ。

「昨年の宝塚記念で４着に敗れた時はスムーズさを欠いたレース振りでしたから、今回はリズム良く走ってほしいですね。キズナとは初めての対戦になりますが、相手関係よりも自分の競馬に徹してもらいたいと思います。蛯名騎手もメノのことをわかってくれていますし、皐月賞に勝って勢いに乗っていますから、そのあたりにも期待したいですね」

　相手に左右されることなく、正攻法のフェノーメノらしい競馬に徹した先には、天皇賞・春連覇という栄光のゴールが待っているはずだ。