今こそ10円単位でWIN5を発売すべき=低迷する馬券売上げへのカンフル剤に

橋本全弘

夢、幻の6億円より発売単位を下げては……

発売から3年、2億円の的中はわずか9票 【スポーツナビ】

 知人の馬券ファンが今回の報道を見て、こんなことを言っていた。「100円で6億円なんて言わないよ。それなら10円で6000万円で十分。そういう馬券は発売できないものなのかね……」
 前述したようにカードなら運賃の精算も1円単位で出来る。インターネット投票なら10円単位の発売も出来るはずである。

 初めて馬券を購入した時、その券面の印字を見て不思議に思ったことはないだろうか。100円で買った馬券には「10枚券」、1000円馬券には「100枚券」と印字されている。これは競馬法の

「第5条 日本中央競馬会は、券面金額10円の勝馬投票券を券面金額で発売することができる。」
「2 日本中央競馬会は、前項の勝馬投票券10枚分以上を1枚をもつて代表する勝馬投票券を発売することができる。」

によるもので、私たちが購入している馬券は1枚10円のものを10枚単位で購入させられ「馬券=100円単位」に慣れてしまっているのである。

 当然、WIN5も100円単位という形をとっているが、この馬券は買い目が多くなるのが特徴。5レースすべてを4頭ずつ選んだとしたら4×4×4×4×4=1024通り。5頭なら3125通り。100円単位だから購入金額は10万2400円、31万2500円と簡単には勝負出来ない金額になるが、もし10円単位で買えるのなら1万240円。3万1250円。これなら夢の馬券へもチャレンジ出来る……というものだろう。
 たとえば、WIN5だけでも10円単位で発売してこそ、ファンサービスとはいえないのだろうか?

JRAにやれない改革ではない

 先日、大井競馬場から今年、新たに導入を考えている重勝式馬券を最低50円から10円刻みで購入出来ると発表された。トリプル馬単(3レースの馬単をすべて的中する)馬券に対して最低50円から10円刻みの馬券をネット限定で発売するというものである。また、オーストラリアでは、馬券の発売単位は基本1ドルだが2連単や3連単に限っては1/2ドル(50セント)、1/4ドル(25セント)、という単位を選ぶことが出来るという。JRAにやれない改革ではないだろう。

 日本は先進国の中で唯一、ここ何年もデフレが続いている。物の値段が下がる、つまりお金の価値が上がるわけだが、その日本で、馬券の発売単位がずっと100円を崩さない……というのは、相対的に発売単位が上がり続けている事につながる。それならば「発売単位を下げる」ということが必要であり、こういった思い切った改革こそが低迷する馬券売り上げへのカンフル剤になると思うのだが、いかがだろうか。

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著者プロフィール

 1954年生まれ。愛知県出身。早稲田大学教育学部英語英文学科卒業後、スポーツニッポン新聞東京本社に入社。87年、中央競馬担当記者となり、武豊騎手やオグリキャップ、トウカイテイオー、ナリタブライアンなどの活躍で競馬ブーム真っ盛りの中、最前線記者として奔走した。2004年スポニチ退社後はケンタッキーダービー優勝フサイチペガサス等で知られる馬主・関口房朗氏の競馬顧問に就任、同オーナーとともに世界中のサラブレッドセールに帯同した。その他、共同通信社記者などを経て現在は競馬評論家。また、ジャーナリスト活動の傍ら立ち上げた全日本馬事株式会社では東京馬主協会公式HP(http://www.toa.or.jp/)を制作、管理。さらに競馬コンサルタントとして馬主サポート、香港、韓国の馬主へ日本競馬の紹介など幅広く活動している。著書に「名駿オグリキャップ」(毎日新聞社)「ナリタブライアンを忘れない」(KKベストセラーズ)などがある。

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