真央、去就はゆっくり決断「休養が必要」=世界フィギュア 一夜明け会見

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羽生「エースのこだわり、実感ない。みんなで頑張っていく方が好き」

エキシビジョンの演技で観客を魅了する羽生 【坂本清】

「(改めて世界選手権で金メダルを取った感想を)特別な思いは湧いてないです。五輪のときもそうでしたけど、世界選手権だから特別うれしいとかはなくて、淡々と1つの試合をこなせたと思います。(周りの反応や今までとは違う新しい体験をしたのでは?)そうですね。歓声とかはいつもと全然違っていましたよね。いつもは高橋大輔選手や本田武史選手など日本の歴史を積み上げてきた選手に、こういう声援が送られていたと思うのですが、それが僕にも送られるとなったらすごく不思議な感じもしましたし、公式練習からその感じがあったので、すごくうれしかった。何かこれから自分がしっかりつくり上げていかないといけないのかなと思いました。

(フリーの日はいつもより闘志が全面に出ていたが?)とにかく勝ちたいという気持ちしか頭になかったです。追いかける立場になって久しぶりに自分のアドレナリンを出し切れたと思いました。あれぐらいふつふつと燃え上がっていくのは楽しいですね。今回は楽しかったなと感じています。

(今季は自分の気持ちをコントロールしていた。今大会は久しぶりに勝ち気な羽生選手を見られたが?)たぶんこれでショートが良くて、フリーがソチ五輪と同じような演技だったら成長し切れなかったと思うんですね。また同じことしか考えられなかったんじゃないかと。ただ今回はショートが悪かったために、やはり(トップと)7点差(6.97点)あって、あのときは楽しいと言いましたけど、かなりショートでは遠い(点差が離れている)じゃないですか。4回転1本分くらい点差があるので、その中で理論とか言っていられないなというのはありました。自分の中で理論とかで自分の気持ちを縛り付けるのではなく、理論は頭の中に入っているのだから、それを応用しながら、ある程度自分の感情は受け止めようと思ったのが今回の試合でした。

(自分のスタイルを改めて思い出した?)改めて作り直せたというか、ガチガチの理論だけではなく自分らしい考え方、自分らしい戦い方というのを改めて考えた試合だったなと。
(ショートが良くなってからはフリーでいろいろ考え過ぎて守りに入ってしまったのか?)守りに入ったわけではないですね。ただ本当に考えすぎるというかけっこう淡々とやってしまうんですよね。自分の中から出す気持ちをプログラムに出しちゃうと一発目から疲れてしまうので、それをシーズン最後だからできたというのもありますけど、追い込まれたからこそ、自分のフルの状態を出せたと思います。久しぶりに爆発させた感じがします。

(この4年間を振り返ってみるとどうか?)ジュニアはジュニアです。4年前も大切ですけど、僕にとってこの前の五輪は4年間だけじゃない。それまでやってきた10何年間が凝縮された時間だったと思うので、それは五輪で感じたことだったんですけど、改めて今こうやって世界選手権を終えて、五輪だけがそういうふうに思える大会じゃなかったんだなと思いました。どの大会でも積み上げてきたものは消えていないですし、たとえ前の大会から世界選手権に向けての期間が3週間くらいしかなくても、そこまでには何年間と積み上げてきたものがあるので、それは忘れたくないです。

(日本男子にはエースという存在がある。エースとして今後どうしていきたいか?)エースに対するこだわりはまったくないです。僕がエースという実感もないですし、興味もありません。例えば、高橋選手がエースだったとして、実際に僕はただ1人の普通の日本代表のスケーターであって、エースかどうかは関係ない。誰が勝ってもおかしくない時代です。今回は実際に町田(樹)選手が素晴らしい演技をして、僕も尊敬していますし、そうやって誰がエースとかを決めつけるのではなく、みんなで頑張っていく方が僕は好きです。そっちの方が今後の日本男子のフィギュア界につながっていくと思います」

町田樹「来シーズンの僕は今の僕を軽く超えています」

「(今日のエキシビジョンはソチ五輪でやった演技と違う?)そうですね。『ドント・ストップ・ミー・ナウ』は、僕にアイスショーで滑る楽しさを教えてくれた宝物のようなプログラムなのですが、それゆえ僕が今考えていることは、もう僕は24歳になり、少年とは言えない年齢になっているので、あのプログラムは踊ることができない身体になっていると感じます。そこに宿る精神が今の僕にふさわしくないかもしれないし、封印という形で宣言はしていないですけど、ソチがラストダンスのつもりで公演しました。今回はどうしようかと、僕らしいプログラムを考えたときに、『ロシュフォールの恋人たち』かなと思い、選曲してみました。(その心は?)幸運なことに高い評価をいただいていたので、注目度も高いですし、自分をアピールするためにも、このナンバーをやろうと決めました。

(今季終わって自分にご褒美をあげるとしたら?)芸術の世界は頂点がないので、『僕はよくやった』と思ってもそこからまた新たな理想が生まれてくる。それが芸術なので、今回は達成感を味わいましたけど、僕は『まだここが足りない』とも思いましたし、そういう意味でまだまだ満足してはいけない。ご褒美は銀メダルで十分です。それと『エデンの東』と『火の鳥』が終わったときに氷上から見た客席だったり、(振付師の)フィリップ(・ミルズ)先生の賛辞で十分幸せです。

(より高みを目指すために来季はどうする?)どうしましょうね。五輪シーズンの後なので、おそらくルールが大幅に変わる。そのルールの中で、ルールを巧みに理由して、今までのフィギュアになかったような作品を作ることが僕のテーマなので、今から構想は進んでいるのですが、乞うご期待ということで(笑)。

(ジャンプはどうか?)こればかりはコンディションもありますからね。今季はコンディションがどうとか言っていられなかった。意地でも4回転を入れていましたが、来シーズンもそれができるならトライしていきます。でも僕も若くないので、練習していく中で何があるか分からないですし、4回転はもう挑戦しないというスタンスではなく、100パーセントの技を組み込む予定なので、それにプラスアルファして、さらなる芸術性も追求していきたいと思っています。来シーズンの僕は最終的には、直感ですけど今の僕を軽く超えています。
(どう超えているのか?)まあ、たぶん見てもらえれば分かると思います。それに点数も付いてきたらうれしいですね。たぶん皆さんも『去年までとは別人だな』と思ってもらえるような作品ができると強く確信しています。

(『嫌いな自分をいかに好きになれるか』という話を以前していたが、1年前の自分と比べて今の自分はどうか?)いやぁ、なんでこの動きがこんなに汚いんだとか、でもここまで過酷だったので、それに耐え抜き、一昨日まで頑張れた自分はとても愛していますし、でもまだまだ未熟な自分というのはしっかりと鍛えていけたらなと思います。たぶん自分の中に嫌いな部分があるから人は頑張れるんじゃないかと思います。
(コンプレックスはあるのか?)どうでしょう。まだまだ本当の総合芸術とか舞台芸術、バレエの世界を見てから僕の演技を見ると、めまいがするくらいまだまだなので、そういう意味で僕の身体表現も磨いていかなければいけないと思っています。

(ソチ五輪が終わってからこの1カ月、精神面で一番大きく変わったのは?)僕はかつてテレビ番組で流れた言葉を引用して『現状維持は退化である』と述べたことがあるんですけど、そう言っておきながら、全日本からソチまでは現状維持するのが精いっぱいで、そんな中ソチが終わって、とっても自分の中で向上心が湧いてきて、本当に火に油を注いだくらいの燃え上がりで、もう1日1日できるだけ進化してやろうとここまで歩んできました。それが一番の今大会における成功の要因だったと思うし、自分が一番変わったところなのかなと思います。

(忙しいシーズンだったと思うが、オフに読んでみたい本、見たい映画、行ってみたい場所はあるか?)ご存知かもしれないですが、海堂尊さんの大大大ファンで、一昨日かな、映画(チームバチスタ)が公開されたのでそれは見に行きたいですね。ただすぐにアイスショーがあって、そんな時間はないと思うんですけど。たくさんアイスショーがあっても1回1回しっかりやらないといけないし、僕はたくさんショーがありますけど、見に来てくれるお客さんにとってはその1回しかない。だから僕もその1回1回に全力を尽くしながらやっていかないといけない。おそらく4月は地獄のような日々が待っていると思います(笑)。でも競技ではいろいろな余計なプレッシャーだったり、緊張だったり、成績を求められたりで、なかなか思うように体が動かなかったり、表現に100パーセント自分の力を注げなかった部分があるんですけど、4月からはアイスショーなので、僕の神髄をお見せできるんじゃないかなと思います。

(来季はティムシェルはどうなる?)本当に2つのプログラムには助けられたし、感謝しているし、僕の宝物。ティムシェルを含め、『エデンの東』と『火の鳥』は一生の僕の宝であり、僕の心の支えだと思います。つらいことがあっても『エデンの東』と『火の鳥』を思うと、また次の一歩を踏み出そうと思うし、そういう意味で今季の僕は、未来の僕にとって大事な僕だったと思います。

(来季はシングルでもボーカルミュージックが使えるようになるが?)最初の質問で言ったことがヒントですかね。ルールを巧みに利用して、今までのフィギュア界にない作品を作るということ。今は秘密です(笑)」

小塚崇彦、来季へ「ジャンプをとにかく鍛える」

「(長いシーズンが終わったが?)当初の短い予定がちょっとずつ長くなり、結局シーズンの最後の最後まで引き伸ばされました(笑)。でもすごくうれしいことですし、世界選手権の最終滑走で滑ることができるなんてそう体験できることじゃない。世界で1年間に1人だけの体験をさせてもらったので。本音を言えば、もうちょっとうまくまとめられたら良かったんですけど、ちょっと悔しい気持ちと、練習から考えたらよくやったなという感じですね。(佐藤)久美子先生も言っていたんですけど『マジックだ』と。そういう気持ちが2つ入り混じってずっとぐるぐる回っている感じです。

(ある程度まとめることができた要因は?)自分の中では調子は確かに悪かったけど、タイミングは忘れていなかったんだなと。調子が悪いというのはとにかくジャンプが跳べない状態です。3週間で詰め込んできたので疲労がたまっていました。そういうのが自分の中であったので、疲労が抜ければタイミングが合うと思ってやっていました。追い込んでやっていたけど、とにかく体が動かなければ話にならない。それがベースなので、そういうことを考えてやってきたんですけど、世界選手権ですからね。3週間でどこまでできるか、僕にとっても賭けだったんですけど、ある程度ショートでは通用しました。でもフリーでは持たない。やはりそれだけの練習を積む必要があった。練習はうそをつかないと思いますし、やってきた自信というのは自分にとってプラスになる要素なんだと今回は実感しました。

(来季に向けたプランは?)昨シーズンのオフに関しては、自分の体を知るということで、日本にいるとどうしても落ち着いてできる環境ではないので、海外に行ってしまった方が外からの声もシャットアウトできるし、集中できると思って、海外に行きました。そこである程度自分の体とは向き合えたと思うので、今季のオフは日本で練習するつもりです。何をと言ったらジャンプしかないと思うので、ジャンプをとにかく鍛える。自分の体は知れたと思うんですけど、自分の感覚をもっと鍛え上げることが大事かなと思います。

(今季の経験は自身にとってどプラスになるか?)僕自身、頭でっかちになりがちな性格なので、あまり考え過ぎずに体を動かすほうがいいなと。ただアスリートは頭で考えて、賢くならなければいけない部分もある。ただ賢くなり過ぎて先回りばかりすると良くないので、そこのバランスはすごく大事かなと思います。
(賢くなるために何かしている?)スケートだけに固執することなく、陸上だったり水泳だったり、野球だったりサッカーだったり、いろいろなスポーツのトレーニング方法や試合へのコンディションの持っていき方を情報交換するということもためになるんじゃないかと思っています。フィギュアスケートって、どちらかというとコンディショニングや科学的なものは絶対に遅れていると思うので、そういうものが入ってくればもっと楽しいスポーツになると思います。表現は人の感情なので、人と会って話をするとか、人間的な面を鍛えていくのがいいんじゃないかと思います。

(けがとの付き合い方はマスターした?)全然痛くならないわけではないですが、疲労がたまってくると痛みが出てくる。その前に毎日ケアをしてもらって、すぐに飛んできてくれるトレーナーさんもいるので、そこは大丈夫です。鍛えるというのもそうなんですけど、こればかりはもうどうしようもないことなので、痛みと付き合っていく決心がついています。

(高橋大輔選手から『振り回してごめん』というメッセージをもらったときはどんなやりとりをした?)五輪が終わったあとに『お疲れ』と言って、フリーのときに大ちゃんらしい演技を見られたから『かっこよかったよ』と送ったんです。『ダメだった』と返事が来たので『そんなことないよ』と話をしたあと、日本に帰ってきて大ちゃんが検査を受けた結果、『出場どうする?』という打診が連盟から来ました。『振り回してごめん』と連絡が来ましたけど、別に振り回されているつもりはなくて、彼女でもないですしね(笑)。1つ良い経験をさせてもらったかなと。後輩への1つの指導と言うか、なんて言うんですかね(笑)。

(ここまでの4年間とこれからの4年間、気持ちの取り組み方は違う?)いつだったかな、覚えていないんですけど、『タカは続けるのか?』と外国人の選手に聞かれて、『うん、続けるつもりでいる』と言うと、『4年間というのを、日本のメディアに絶対聞かれるんだよな』と。『4年間も考えなくていいんじゃないか』と言われ、1年1年やっていたらいつの間にか4年間経っているんじゃないかという話をしたのを覚えています。1つ1つ大切にやっていれば時間はあっという間に経ってしまうと思うので、今までずっとスケートをやってきたわけですし、新たなチャプターとして、ずっと続いている映像のように今後も続いていくと思います。

(表現の部分を今後、高めていくためにどうする?)自分1人で考えていても絶対にうまくならない。誰かの意見や動きを取り入れていかなければいけないと思うし、誰かの動きを真似して、一緒に取り込んでいくことで大きくなっていくと思うので、何かしら新しい行動を起こさないといけないと思います」

<了>

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