「カルペディエム!=いまを生きよ!」 40歳から楽しむ大人の柔術クラス

長谷川亮

【長谷川亮】

国内でも珍しい「オーバー40クラス」

国内でも珍しい40歳オーバークラスを取材 【長谷川亮】

 港区南青山に位置する「カルペディエム」は、“いまを生きよ”というラテン語を名前に冠したブラジリアン柔術道場。代表を務める石川祐樹が、「柔術を生活の一部としてとらえてもらいたい」と昨年9月にオープンした。年明けからは40歳以上を対象にした「オーバー40クラス」をスタート。国内では珍しいこのクラスを訪ね、若々しく練習に励む社会人柔術家たちを取材した。

「基本に忠実な技を中心に」と石川祐樹代表 【長谷川亮】

「柔術は“年齢が高くても、力が弱くても、体が小さくても”とは言いますが、やっぱり実際問題として若くてデカくて力の強い人間とやるのは大変なことです(苦笑)。どうしても若い人とやると力やスピードで負けてしまうことが多くて、そういう場合に『技で勝て』っていうのは指導者として言葉で逃げてるだけだと思うんです。技で勝つには相当な技量がないとダメだし、そのためには技を身につける、技に特化したクラスが必要です。それで技に集中して教える時間を作りたいと思ったんです」

 そう語る石川代表は「オーバー40クラス」では1つ1つの技術を丁寧に、分かりやすく説明し、その上で参加者が反復練習に入る。

「テクニッククラスは別にあるので、40代以上の縛りにする意味もないとは言えなくもないですが、やっぱりスピードや力が必要な技もいっぱいあるので、そうではない、スピードや力に頼らない技に特化して教えるクラスにしようと思っています。基本に忠実な、みんなができるであろう技を中心にやろうと考えています」

「柔術をやってる人はみんな若い」

笑顔が絶えない和やかな雰囲気はまさに大人の世界である 【長谷川亮】

 クラスは木曜の21時15分と遅い時間から始まるが、前のクラスが終わると「さあ大人の時間だ」という声が「オーバー40クラス」参加者の中から聞かれ、笑顔の絶えない和やかな雰囲気のなか進行する。
「僕も38なので、オーバー40世代の人が単純に好きなんです。気持ちが分かるというか(笑)。それもこのクラスを作ったところにあるかもしれません。40代で格闘技をやっているというだけで平均的な40代の人よりとてつもなく体力があるし、その時点で僕としてはすごくリスペクトできる人たちが多いです」

 活き活きと楽しげに練習へ励む人たちの姿を見ると、目の前で行われているのが「オーバー40クラス」であることはすぐにどこかへ行ってしまう。みなさんとても若々しい。

「たしかに歳が分からないですよね。柔術をやってる人はみんな若いし、だからやっぱり、若さって気持ちなんですよね」

アントニオ猪木の言葉を思い出す

「みなさんポジティブで素敵な、人生の先輩」 【長谷川亮】

 石川代表の話を聞き、アントニオ猪木が引退セレモニーで発した「人は歩みを止めた時、そして挑戦を諦めた時に年老いていく」という言葉を思い出す。カルペディエム「オーバー40クラス」の参加者たちは、肩ひじ張らず、それでいて大人の柔術クラスを楽しんでいた。

「家庭とか仕事に折り合いをつけて来てくださってるので、ありがたいなと思います。このクラスへ来るために前の日に残業をして終わらせておくとか。みんなもう世界チャンピオンになるとかはないし、これで食っていこうとかもないので、友だちとかには『お前なんでやってるの?』って言われてると思うんです。『お金を払って痛い思いして、なんで?』って。

 でも、僕はそこが好きなんです。何のためとかじゃなく、自分を高めたい、目標設定があって、それをクリアしていくことに喜びを見いだしている。そういう人しか楽しめない場所ですよね、道場っていうのは」
 22時15分終了となるクラスの後も、参加者は居残ってスパーに励む。正確な技の掛け方を上級者に尋ねたり、スパーでの反省点を確認したり。

「どの人にも共通するのはやっぱりポジティブですよね。道場で一番は64、5歳の方がいらっしゃいます。みなさんポジティブで素敵な、人生の先輩が多いです」

「やっぱり若さって気持ち」

いまを生きよ! 【長谷川亮】

 カルペディエム!=いまを生きよ!
 その言葉のメッセージのまま、仲間と柔術で分かち合い、楽しむ気持ちがあれば年齢を超え若々しくあることができる。「やっぱり若さって気持ち」、そんな石川代表の言葉が納得して思われた、「オーバー40クラス」訪問だった。

取材協力 CARPE DIEM|BRAZILIAN JIU-JITSU 青山

107-0062
東京都港区南青山4丁目26-16-1F
tel:03-6427-4163
fax:03-6427-4164
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著者プロフィール

病弱だった幼少期にプロレスファンとなり、格闘技ファンを経て2002年に格闘技雑誌編集部入りし、05年からフリーライターに。『スポーツナビ』にはそのころから執筆。病床で何度も読み返したため、『プロレススーパースター列伝』は大体暗記。趣味は下手の横好きでキックボクシングとブラジリアン柔術

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