「ワシ、優勝しか考えていません」=J2山形・石崎信弘監督インタビュー

杉山孝

失点を減らせば、必然的に勝利数は増える

昨季はJ2で3位の得点力を誇った山形。昇格への鍵を握るのは守備力の向上か 【Getty Images】

――現状で、優勝に向けての手応えは?

「去年の山形の試合を見てみると、攻撃はすごく面白い。順位は10位でも、リーグ3位の得点数でした。攻撃力はあるけれど、守備がひどくて、失点数が下から4番目。失点の少ないチームが優勝するもので、去年の(J1でのサンフレッチェ)広島もそうだった。失点を減らしてあげれば、必然と勝ち数は増えていくんじゃないかと思います。

 ただ、守備はチームのやり方、戦い方である程度できるけれど、最後はやはり個の能力になってくる。チームで守備をするけれど、すべてそれで守れるわけではない。やはり個の勝負になることもあるでしょう。

 去年の試合を見ると、個人の戦術的・技術的なミスと、いらない失点が本当に多かった。ボランチには守備ができる選手を獲得することができました。センターバックやゴールキーパーもしっかりしていきたいですね」

――プランは明確ということですね

「プランに沿ってやっていて、選手にも言い続けているのは、まずはフィジカル。1年間戦えたり、ケガをしない体づくりがメインだよ、と話しています。今回の合宿(千葉での1次合宿)はディフェンスをメインにやっていくと話をしてから、どういうディフェンスをやりたいかを映像で見せたりしています」

山形ここにあり! と示せるようなクラブに

――今年が指導歴20年目ですが、これまでにご自身の変化を感じていますか

「最初に山形や大分、(川崎)フロンターレの2年目までやっていたのは、ある程度相手に合わせてシステムを変えたり、まずはしっかり守ってからというリアクションのサッカー。でも川崎での3年目から、自分たちからボールを奪いにいくアクションのサッカーをやっていこうとしました。その時に180度くらい考えが変わって、それを続けてきましたね」

――指導歴を重ねる中でも、変化を恐れないということですか?

「新しいことにどんどんチャレンジしていくし、新しいことをするためのものを練習に持ち込まないといけないと思う。こういうトレーニングをしたら、自分が目指しているサッカーになる、と示さないと。だから、練習メニューはものすごくいろいろな方法を考えます。メニューはどんどん増えてくるし、どんどんきつくなっていますね」

――これまで他クラブで見せたものとは違う、新しい石崎監督のサッカーが今年見られますか?

「守備は今までどおり攻守の切り替えが早く、自分たちからボールを奪いに行くアクションのサッカーを“やりたい”と思っています。できるかは選手次第ですからね。ディフェンスは耐えるものじゃないんだよ、ディフェンスも楽しいんだよというところを見せたい。そう考えて、フロンターレの頃からやってきました。

 その上に攻撃を乗せて、いろいろな形から点が取れるようなサッカーができるんじゃないかな、と。サイドからもあるだろうし、崩しのところもあるでしょう。『ポゼッションサッカー』というのがあまり好きじゃないから、ポゼッションサッカーしようかな、と(笑)。

 ポゼッションというのが何なのか分かりませんが、攻撃の目的というのはシュートを打つことだと、選手にはいつも言っています。シュートを打つためにボールを回しているならいいと思う。でも、ただボールを回すだけの、キープするだけのサッカーには目的がないと思うんです。

 どこかからスピードアップしないと、シュートは打てないと思います。そのチャンスをうかがうためにポゼッションするのはいいと思うけれど、ただボールを回しているだけでは目的がない。自分たちのボールを失わないというのが目的なら、そういのはあまり好きじゃありません」

――独自のスタイルを持つことで、さらにファンも増えると思います

「山形のファンが増えればうれしいこと。山形はここにあるんだよ、というのを示せるようなクラブになりたいですね。スペインでも、イエローサブマリンと呼ばれるビジャレアルのような小さな街のチームが強いじゃないですか。そういうチームになれればいいんじゃないかな、と思っています」

<了>

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著者プロフィール

1975年、ジーコとストイコビッチと同じ3月3日生まれ。新聞社で子供からプロまで5年間、サッカーをメインにみっちりスポーツを取材。サッカー専門誌編集部を経て09年に独立。同時にGoal.com日本版編集長を務め、2012年7月まで同サイトの日本での確立・発展に尽力。現在はライター・翻訳者・編集者としてサッカーとスポーツを追い続ける。サッカーW杯取材は現在のところ02年、10年の2大会。

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