伝説的アンカー勝負の男子と独走Vの女子=対照的だった全国高校駅伝

中尾義理

豊川、全区間エース級で独走V

女子はエース級をそろえた豊川高が2年ぶりV。アンカーでエースの鷲見(写真)は両手を挙げて歓喜のフィニッシュを迎えた 【写真は共同】

 女子は2連覇を目指す立命館宇治高(京都)、前回2位の豊川高、10年連続3位以内という偉業を優勝で飾りたい興譲館高(岡山)がトップ3と予想された。
 由水沙季(筑紫女高3年・福岡)が2年連続区間賞に輝いた1区。豊川高は関根花観(3年)が2秒遅れで好発進したが、ライバルの立命館宇治高はトップから13秒差、興譲館高は24秒差と波に乗り損ねた。2区では須磨学園高(兵庫)が見せ場をつくった。福田有以(3年)が区間歴代3位タイの走りで首位に浮上。しかし豊川高も同タイムで3区につないでいた。

 有力校のほとんどが1、2区にエース級を起用していた。前半のリードが優勝への条件になる中、豊川高はインターハイ3000メートル8位の加治屋ななこ(3年)を3区に配置できた点で優勢だった。さらにエース鷲見梓沙(2年)が5区に控えた。その加治屋が須磨学園高を一気に25秒も突き放す力走。これで勝負あり。アンカーの鷲見もスピードに乗って5キロの区間を15分37秒で駆け抜けた。将棋では理想的な攻撃の形を「飛角銀桂」と言うが、豊川高には「金」もそろい、どの区間からも攻めていけた。

 豊川高の森安彦監督にとっては、前回男子の優勝と合わせて全国高校駅伝5度目の美酒。今回の女子は過去3度の優勝と違い、ケニア人留学生不在の全国制覇。それだけに価値は大きい。「私は幸せ者です」との一言に選手との間に結ばれた信頼の強さが感じ取れた。
 5区の2位争いから抜け出した興譲館高の10年連続3位以内、3位須磨学園高の19年連続入賞はともに見事と言うほかない。2連覇を狙ったものの4位の立命館宇治高は1〜4区が1、2年生。気は早いが、来年の立て直しに期待が持てる。

 男子、山梨学院大附高の初優勝。女子、豊川高の単独最多4度目の栄光。全国高校駅伝に新たな歴史が刻まれた。都大路を全力で駆け抜けた若き韋駄天たちは、豊かな将来に何をめざし、何を誓うだろう。喜びも悔しさも次のスタートラインの糧にしてほしい。

<了>

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著者プロフィール

愛媛県出身。地方紙記者を4年務めた後、フリー記者。中学から大学まで競技した陸上競技をはじめスポーツ、アウトドア、旅紀行をテーマに取材・執筆する。

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