山本隆弘が分析! 全日本の課題と未来=グラチャンバレー男子の序盤戦を語る
グラチャン男子、全日本はここまで3連敗。試合の中で見えた課題などを山本隆弘さんが解説 【坂本清】
今シーズンは苦しい戦いが続く全日本男子だが、世界ランク上位4カ国とアジア王者・イランという強豪が集まる大会の中で、結果はもちろん、その試合内容も問われている。
今回スポーツナビでは、ここまでの3試合を元日本代表の山本隆弘さんに振り返ってもらい、全日本男子の戦いを分析。課題や今後の展望などを語ってもらった。
勝利のカギは『サーブ』
『攻めのサーブ』とは、ただ速いサーブというわけではない。コースや狙いどころも大事 【坂本清】
どちらも、カギはサーブです。
最初から最後まで、全員が攻めの意識でサーブを打てている試合やセットは、どの相手に対しても互角の戦いをしています。その反対に、サーブが消極的で、狙い所も分からず、「ミスをしたらどうしよう」と、ただ入れるだけのサーブを打っているような試合は、一方的に押し切られています。
攻めのサーブというと清水(邦広)選手や、福澤(達哉)選手、越川(優)選手のようなスピードサーブをイメージするかもしれませんが、そうと限ったわけではありません。
ジャンプフローターサーブや、7〜8割の力で打つジャンプサーブでも、確実にターゲットとなる人やエリア、コースを狙って打てていれば、それも十分に攻めのサーブ、と言うことができます。
今大会で日本が対戦する強豪国の選手たちは、ほぼ全員と言っても言い過ぎではないほど、攻めのサーブで勝負してきます。特に、20点以降の終盤に攻めるサーブを打つのは当たり前。狙い通りの場所に打つことのできるタフさと、技術を持っています。
攻めのサーブミスの意味
清水(写真)も大会前、サーブについてはただ強い球を打つだけでなく、いろんなバリエーションを出したいと話していた 【坂本清】
確かに、やみくもに、狙いもなく打ったサーブがミスになれば、「どうしてココでミスをするんだよ」と思うかもしれません。
でも、そこで攻めずに、安易なサーブを入れて、リベロや、レシーブの得意な選手が簡単にセッターに返し、センターからクイックを決められたとしたらどうなるか。同じ1点ではありますが、「攻めた結果の1点」と、「守りに入って、相手を乗らせてしまった1点」では重みが大きく異なります。
たとえミスになったとしても、サーブで常に攻めの意識を持ち続けることによって、常に攻めの気持ちを維持することができます。結果的に、スパイクも調子が上がったり、レシーブやブロックでもいいプレーにつながった、ということは決して珍しいことではありません。
初戦の米国戦や、3戦目のブラジル戦は、『攻めのサーブ』が効果を発し、直接得点につながっただけでなく、相手の攻撃を絞らせ、ブロック得点につなげる場面もありました。
サーブは、確かにプレッシャーのかかるものではありますが、バレーボールの中で、唯一の個人技でもあります。自分の間合いで、自分がトスをして打つことができる唯一のプレーなのですから、小さく、縮こまって打つのではなく、もっと思い切って勝負してほしい。「自分がここで流れを変えてやろう」とか、「練習で打ちこんできたライン際へ思いきってサーブを打とう」というように、積極的な姿勢で臨んでほしいですね。