日本馬の歴史的Vはかつてないほど近い=合田直弘の凱旋門賞 展望

JRA-VAN

オルフェとキズナ、2頭の優劣は付けがたい

100点満点の前哨戦だったキズナと武豊、斤量も生かして日本馬初の快挙を成し遂げたい 【写真:Abaca/アフロ】

 初コースだったロンシャンで、しかも重馬場となった中、仏国や愛国の精鋭を向こうにまわしてG2ニエル賞(芝2400m)を制したキズナ(牡3)。しかも本番を意識した85%の仕上がりで、なおかつ消耗の少ないパフォーマンスで制するという、100点満点の前哨戦だった。

 スローペースにも難なく折り合い、直線半ばで鞍上が出したゴーサインに瞬時に反応したオルフェーヴル(牡5)のG2フォワ賞(芝2400m)も、極めて内容の濃い競馬だった。こちらも5か月半の休み明けを叩かれた効果は絶大なはずで、昨年以上の競馬ができること請け合いである。

 極端なハイペースやスローペース、あるいは極悪馬場にでもならない限り、日本調教馬2頭のいずれにも、大きなチャンスがある凱旋門賞と言えよう。

 前走のレース振りがより鮮烈だったのはオルフェーヴルだが、キズナの方が3.5キロ斤量が軽いことを考えると、2頭の優劣は付けがたいというのが正直なところだ。

最大の敵は超絶パフォの独馬ノヴェリスト

日本馬の最大の敵は、G1キングジョージで衝撃のレコード勝ちを収めたノヴェリストだ 【写真提供:AP/アフロ】

 最大の敵は、今季ここまで4戦無敗で来ているドイツ調教馬のノヴェリスト(牡4)だ。どんな競馬にも対応できる馬だが、中でも超絶のパフォーマンスだったのが従来の記録を2秒以上更新するトラックレコードを樹立し5馬身差で快勝したG1キングジョージ(芝12F)だった。おそらくはキズナ、オルフェーヴルより前で競馬をすることになるこの馬に、爆発的末脚を使われると、日本馬2頭の追い込みが届かない恐れがある。

 馬場が軽く切れ味勝負になった時のトレヴ(牝3)、逆に力の勝負になった際のルーラーオブザワールド(牡3)にも警戒が必要だし、凱旋門賞7勝の最多勝調教師A.ファーブルが送りだすG1仏ダービー馬アンテロ(牡3)も不気味だ。

 だが、日本調教馬として延べ15頭目と16頭目の参戦となるキズナとオルフェーヴルが、かつてないほど凱旋門賞制覇に近づいていることは間違いなく、あとは勝利の女神が微笑んでくれることを祈るのみである。
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