データとフィジカルが日本を強くする=世界のサッカーに追いつくために
ウルグアイ戦で明らかになったこと
日本の守備陣は、スアレス(左)のスピードやパワーに全く歯が立たなかった 【Getty Images】
しかし今後、日本サッカーを発展させていくためには、フィジカル強化は不可欠。では一体どうすればいいのか。その解決策を探るトークセッションが20日に都内で行われ、元日本代表の名波浩氏や日本代表コンディショニングコーチの早川直樹氏、横浜F・マリノスユースの松橋力蔵監督らがそれぞれの視点で意見を述べた。
イベントでは、フィジカルの強化に加え、データの有効活用がいかに重要かという例として、2012−13シーズンのチャンピオンズリーグ準決勝、バイエルンvs.バルセロナの第1戦が取り上げられた。
まずはこの試合の展開をざっと振り返ってみたい。バイエルンがホームに優勝候補のバルセロナを迎えた一戦。得意のパスサッカーで主導権を握ったバルセロナに対し、バイエルンは組織化された強固な守備と鋭いカウンターで対抗する。そして25分にトーマス・ミュラーのゴールで先制すると、後半にも49分にマリオ・ゴメス、73分にアリエン・ロッベン、82分にミュラーがこの日2点目を決め、大方の予想に反して、バイエルンが4−0でバルセロナを粉砕した。
フィジカルの充実ぶりが際立ったバイエルン
ロッベン(奥)が3点目を決めたシーン。試合終盤に自陣から全速力で駆け上がり、ゴールを陥れた 【Getty Images】
そしてこの試合で特筆されるのが、バイエルンのフィジカルコンディションの充実ぶりだ。3−0と勝負を決めた73分のゴールシーンは、自陣からのカウンターで右サイドを駆け上がったロッベンが、最後はドリブル突破から決めたもの。その直前、ロッベンは自陣のペナルティーエリア付近にいたが、そこから全速力で、相手陣内の右サイド深くまで上がっている。そのスピードは時速30キロ。終盤に差し掛かった時間帯でありながら、この試合におけるロッベンの最速記録だった。
また、2得点を挙げたミュラーは、スプリント数が92回、走行距離が11.19キロメートル、最高速度が30.11キロを記録しているが、これはブンデスリーガにおける自身の1試合平均の数値と大きく異なっている(リーグ戦ではスプリント数71回、走行距離9.64キロメートル、最高速度28.69キロ)。この数値を見ただけで、ミュラーがどれだけバルセロナ戦で普段以上の力を発揮したかが分かる。
この試合の指揮を執ったバルセロナのジョルディ・ロウラ助監督は、以下のように語り、フィジカルの差に敗因を求めた。
「バイエルンは非常に強く、われわれを上回っていた。フィジカルで勝り、長身で体の強い選手がそろっている。われわれはあまりにも多くのスペースを与えすぎたし、フィジカルの弱さも露呈してしまった」