高橋尚子が贈るランナーへのアドバイス=東京マラソンEXPO・リポート

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上りは“小猿”、下りは“小石”

小猿や小石と言った表現でレース中のアドバイスを贈る高橋氏 【スポーツナビ】

 レース前の準備のポイントを話した高橋氏は次にレース中のポイントについて、自身の現役時代の考え方などを交え笑顔で話した。

浅利 スタートした直後は声援も多く楽しくて仕方ないですよね?

高橋 そうなんです。号砲を聞くと、それに伴ってテンションも上がりますが、そうなった時にまず、「(混雑で)前に出れないなあ……」と思うかもしれません。せっかく練習もしてきてテンションも上がっているのに、自分の走りができない。そうなるといらいらしてきますね。でも、いらいらしていまうと混雑を抜けようと無駄な力を使ってしまいますし、体もきつくなってきます。これが一番いけないことです。前半は力を温存する必要があるので、まずはそこを乗り越えることが大切です。特に初マラソンの方は20キロまでは抑えてください。

 そして、次に気をつけるのが“10キロの魔物”です。10キロ付近にくると体が温まってきて動きやすくなり、「今日いけるなあ」、「今日は調子が良いぞ」と思ってしまいます。そう思ってペースを上げてしまうと20キロ地点で「足が止まった……」と言うことになりかねません。だから10キロでの誘惑に負けないでください。

浅利 35キロを過ぎると佃大橋が待っていますが?

高橋 そうなんです。この上り下りが嫌だと思う人もいるかもしれませんが、これをうまく利用すればリズムを取ることができるんです。上りになると頂上を見てあごが上がってしまい、重心が後ろに乗ります。すると脚が前に出ませんね。だから上りではあごを引いてしっかりと腕を振ってください。あごを引くと頂上も見えず「坂なんて気のせい」と思えるので、そこで5人抜けます(笑)。そしてここで大切なイメージが“私は小猿”です。自由奔放で軽やかなイメージですね。一方、上り切った後に待つ下りのイメージは“私は小石”です。転がり落ちるような感じでストッパーをかけないこと、そしてストライド走法でがんがんいくのではなく、ピッチ走法で細かく走ると楽に走れますよ。

<了>

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