高橋尚子が贈るランナーへのアドバイス=東京マラソンEXPO・リポート
東京マラソン2013EXPOにてトークショーを行った高橋尚子氏(右)とMCの浅利そのみ氏(左) 【スポーツナビ】
その東京マラソンを翌日に控えた23日、シドニー五輪で金メダルを獲得した高橋尚子氏のトークショーが東京ビッグサイトの「東京マラソンEXPO 2013」にて開かれた。トークショーでは集まった大勢の市民ランナーに対し、食事で気をつけることや、完走するためのポイントをアドバイス。自身がマラソンを走っていた時の気持ちを独特の言葉で表現し、会場に足を運んだ人たちの興味を誘った。
前日は炭水化物を多めに取って
浅利 築地の35キロ辺りでお味噌汁を配っているんですよね?
高橋 そうなんです。明日はテレビ放送の前半では解説をしているのですが、後半からは築地の35キロ付近で沿道に立って、ランナーの方たちにお味噌汁を配ります。私以外にもスポーツ選手がたくさん配ってるので、見落とさないでください。
浅利 食事はどのようなものが良いのですか?
高橋 食事は炭水化物が良いです。私がシドニー五輪で金メダルを取った時の前日に取った食事は、うどんにもちを入れた力うどんです。それをおかずにご飯を食べると言う真っ白な食事です(笑)。でも、肉や野菜を全く食べてはいけないと言うことではありません。できるだけ炭水化物を多めにとるようにしてくださいと言うことです。
浅利 もちはどのくらい入れていたのですか?
高橋 私は2つですね。ちなみに明日の食事も磯辺もちや、きな粉もちを食べます。できればランナーの皆さんは明日の朝食は野菜を少なめにした方が良いです。
浅利 なぜですか?
高橋 野菜は繊維が含まれているのでガスが溜まりやすくなるんですね。そのため、走っている途中にトイレに行きたくなったりするんです。また、朝食の時間も大切です。明日は9時10分スタートなので、そこから3時間前、遅くても2時間30分前までには普通の朝食は取り終えておいてください。私たちのようなランナーは2時間半ぐらいで走り終えてしまうので、それでもいいのですが、皆さんは完走に5時間6時間とかかることもあると思います。そうするとお腹が空いてしまうので、そのような人たちは、大きな朝食を3時間前までに一度取り終えておいて、その後カステラやスポーツドリンクのようなお腹に入っても重く感じないものを取ってください。そうすると吸収も良くなりますし、腹もちも良くなります。今日から軽食を準備して、試合前は少しずつ食べることをお勧めします。
給水についてもそうです。脱水症状になるといけないので、水分を多めに取るようにしてください。だからと言って、一気に飲むのはダメですよ。飲み方も1本を1時間以上前から30分間隔で3分の1ずつに分けて飲んで、試合前は口を湿らせる程度にしておいてください。そうすると体全体に水分がいきわたります。
浅利 明日の天気が早朝で2度、日中で8度ですが?
高橋 2度は寒いですね(笑)。8度はマラソンをするにはちょうど良いです。それでも寒いことに変わりはないので、私だったら手袋は用意しますね。寒いと手先や足先から冷えてきてしまい、体全体の動きが小さくなってしまいます。あと気をつけなければならないのは、アップです。トップランナーはスタート直前まで体を温めることができますが、皆さんは30分前ぐらいには並び始めなければなりません。実は、アップをした後に、7分間動かずにいるとゼロになってしまいます。じゃあ、どうするのか? ここが大事なのですが、その場で縄跳びをするようにジャンプしてください。実業団の選手も試合前に縄跳びを飛んで出る人が多いんですよ。なぜ姿勢が良くなるのが1つ。跳ぶときにつま先に体重移動するのが1つ。こうすることで走りの体重移動もスムーズになるんです。あとすごく大切なのが首のストレッチです。なぜ足じゃなくて首かと言うと、足を動かすのには頭が指令を出すので、その伝達をスムーズにする必要があるんです。