ベッテル4連勝も、レッドブルチームに生じた誤算=「散々なレースだった」可夢偉は14位に終わる

吉田知弘

可夢偉、直線スピードが足りず

14位に終わった可夢偉。「散々なレースだった」と振り返った 【Getty Images】

 前回の韓国GPではスタート直後に他車と接触してしまいリタイアに終わった可夢偉(ザウバー)。今回のインドGPで前回の雪辱を果たす走りが期待されたが、週末を通して歯車がかみ合わなかった。

 予選ではQ2に進出したものの17位。決勝では硬い方のハードタイヤを選択して逆転を狙った。しかし思うように順位を上げることができず14位でフィニッシュ。ポイント獲得には至らなかった。レース後、公式配信された動画コメントで可夢偉は「散々なレースでした。ラップタイムは悪くなかったのですが直線スピードが遅くて、トロ・ロッソ勢の前に行くことができませんでした」と語った。

 今年のザウバーマシンは中高速で通過するコーナーでは抜群の速さを発揮するが、逆に長い直線でスピードが伸びず苦戦することが多い。今回のブッダ・インターナショナル・サーキットは高速コーナーもいくつかあるが、全体的に長い直線が多いレイアウトになっているため、これが決勝レースで可夢偉が苦戦する結果となってしまった。

 来シーズンに向けても、さらなる上位入賞が求められる可夢偉。その具体的な目標は変わっておらず「何としてもチームランキングでメルセデスAMGの前に立ちたいので、次のアブダビGPはポイントを取れるように頑張ります」と最後にコメントした。

 次回のアブダビGPは昨年10位入賞を果たし、09年にトヨタからスポット参戦した際も6位に入るなど彼にとっては相性の良いサーキットだけに、次回の活躍に期待したい。

ライコネン、14戦連続入賞を果たしランキング3位を死守

 現在ベッテルとアロンソによるチャンピオン争いに注目が集まっているが、数字上ではランキング3位のキミ・ライコネン(ロータス)にもチャンスが残っている。

 久しぶりにF1復帰を果たしたライコネンは、今季未勝利。それでも、興味深いことに2勝を挙げているルイス・ハミルトン(マクラーレン)やジェンソン・バトン(マクラーレン)よりもランキング上位につけているのだ。現在のポイントシステムをみると優勝して25ポイントを稼ぐことが有利にみえるが、なぜ勝っていないライコネンがランキング3位にいるのか?

 ここまで3回の2位表彰台を獲得。第3戦中国GP(14位)でポイントを取り逃がした以外は全戦で入賞を果たしている。ライバルたちと比べてシーズンを通しての「0ポイントレース(11位以下、もしくはリタイアに終わるレース)が少ないのだ。実際に首位ベッテルは3回、2位アロンソともに2回の0ポイントレースを経験してしまっている。ライコネンは勝てなくても、“シーズンを通しての安定感”でランキング上位に食い込んでいるのだ。

 今回のインドGPでも目立った内容は見られなかったものの、着実な走りで7位入賞。14戦連続入賞でトータル173ポイントとし、ランキング3位を死守した。

 残り3戦で首位ベッテルとの差は67ポイント。数字上での逆転は可能だが現実的には厳しい状態だ。しかし復帰後の初優勝を待ち望むファンや関係者も多く、残り3戦での躍進が期待される。

<了>

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著者プロフィール

1984年生まれ。幼少の頃から父の影響でF1に興味を持ち、モータースポーツの魅力を1人でも多くの人に伝えるべく、大学卒業後から本格的に取材・執筆を開始。現在では国内のSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に年間20戦以上を現地で取材し、主にWebメディアにニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載。日本モータースポーツ記者会会員

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