ショーグンとリョート――ライトヘビー級タイトルマッチに近づくのは!?=UFC見所

WOWOW

タイトル戦線復帰へクセ者ヴェラと対戦するショーグン(左) 【Zuffa LLC via Getty Images】

 米国ロサンゼルスのステープルズ・センターで現地時間8月4日に開催される「UFC on Fox4」。日本時間5日(日)午前9時から「UFC149.5」としてWOWOWで生中継されるこの大会には、日本の格闘技ファンにもおなじみのショーグンとリョート・マチダが出場する。

■PRIDE&UFC制覇のショーグンとクセ者ヴェラが対戦

“PRIDEミドル級絶対王者”と呼ばれたヴァンダレイ・シウバの後輩として、シウバを破ったヒカルド・アローナをKOしPRIDE GPを制したショーグン。PRIDEでは他にクイントン・“ランペイジ”・ジャクソンのアバラをヒザ蹴りで粉砕してTKOし、アリスター・オーフレイム(後のDREAMヘビー級&K−1王者)にも2度1R(T)KO勝ちしている。
 くせUFC参戦後は、PRIDE時代の得意技・踏みつけをルールで禁じられたにも関わらず、ムエタイ技術を伸ばして活躍、米格闘界のスーパースター、チャック・リデルにKO勝ちし、大会ベストKO賞を獲得、日系ブラジル人空手家リョートが保持していたライトヘビー級王座に挑んだ。

 09年10月に行なわれたこの試合では、激戦の末に判定でリョートが王座を防衛したが、非常な接戦だったため翌年5月にダイレクト・リマッチが組まれ、ショーグンはリョートをカウンターの右フックで1RKOして王座に就いたのだった。この試合は米有力格闘技サイトで年間ベストKOに選ばれている。

 だが昨年3月の初防衛戦で、名将グレッグ・ジャクソン門下の“超新星”ジョン・ジョーンズにまさかのTKO負けを喫し、ベルトを奪われてしまう。
 それでも、昨年8月に母国ブラジルで行なわれた「UFC134」では、UFC初参戦時に不覚を取ったフォレスト・グリフィン(TUFシーズン1優勝、その後UFCライトヘビー級王者)に1RKOでリベンジし、復活の雄叫びを上げた。

 同11月の「UFC139」では、“ロシアン・ラスト・エンペラー”ヒョードルをTKOしてUFCに凱旋したダン・ヘンダーソンを相手に、5Rにわたる死闘を展開。ジャッジ3者とも48−47という僅差の判定で敗れたが、どちらが勝者に選ばれてもおかしくない内容で、大会ベスト・ファイト賞を獲得。多くの格闘技サイトでも年間ベスト・ファイトに選ばれた、まさにUFC史上に残る名勝負であった。

 文字通り魂と肉体を削った“究極の戦い”から約9カ月、ショーグンがオクタゴンに戻ってくる。
 今回の相手、ブランドン・ヴェラはもともとレスリングで活躍し五輪を目指していた選手だが、“キックの帝王”と呼ばれたロブ・カーマンから打撃を学び、柔術はロイド・アーヴィンの弟子で茶帯というオールラウンダーだ。現UFCバンタム級王者ドミニク・クルーズと同門でもある。
 変則的な戦い方をするヴェラは、以前はヘビー級で活躍し、WECヘビー級王座を獲得。元UFCヘビー級王者のフランク・ミアに初回TKO勝ちした他、PRIDEで活躍したアスエリオ・シウバにも一本勝ちしている。

 元UFCヘビー級王者ティム・シルビアと、柔術世界王者ファブリシオ・ヴェウドゥムに連敗してライトヘビー級に転向、ポーランド系パワーファイター、クシシュトフ・ソシンスキーを破った後、“UFC二階級制覇の鉄人”ランディー・クートゥアに僅差の判定(ジャッジ3者が29−28)で敗れ、その後はジョン・ジョーンズにもTKO負けしているが、昨年10月の試合ではエリオット・マーシャルに判定勝ちした。

 選手としての格で言えば、もちろんPRIDE&UFC元王者のショーグンが上だが、ショーグンと元同門のアスエリオや、元王者ミアにも勝っているヴェラは、時として大物食いするクセ者である。ショーグンとしてはヴェラを一蹴してタイトル戦線に再び絡みたいところだ。

リョートがランペイジを破ったベイダーと激突

日本大会でランペイジを破ったベイダーと激突するリョート(左) 【Zuffa LLC via Getty Images】

 今大会のセミではショーグンと1勝1敗の元UFCライトヘビー級王者リョートが登場。2月に行なわれたUFC日本大会でランペイジを破ったライアン・ベイダーと激突する。
 日本人の空手家・町田嘉三氏を父に持つリョートは幼いころから空手のみならず相撲やレスリングなどさまざまな格闘技をして育ち、空手ではブラジル王者になっている。総合格闘技では、日本でリッチ・フランクリンをKOしているし、UFCではソクジュに一本勝ち、ティト・オーティズやラシャード・エバンスを破ってライトヘビー級王者となった。ショーグンとは1勝1敗で、昨年4月には“鉄人”ランディーをジャンプしながらの前蹴り(空手技である二段蹴り)一撃でKOして引退に追い込み、年間ベストKO賞も獲得した。その後昨年末にジョーンズに一本負けし、今回が再起戦となる。

 一方、ベイダーは大学レスリングでオールアメリカンに選ばれた猛者で、アリゾナ州立大学レスリング部では、後のUFCヘビー級王者ケイン・ヴェラスケスとチームメートだった。TUFシーズン8で優勝し、キース・ジャーディンやアントニオ・ホジェリオ・ノゲイラにも勝利している。
 今大会のメーンとセミでいい勝ち方をした者が、タイトルマッチに大きく近づくことになるはずだ。
 どちらも好勝負間違いなし、注目の試合である。

(文:稲垣 收――WOWOW UFC解説者)

■詳しくはUFC WORLD(wowow.co.jp/ufc)へアクセス!
http://www.wowow.co.jp/sports/ufc/

◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆

★UFC−究極格闘技− UFC149.5 ショーグン&リョート 2大看板そろい踏み!
ライトヘビー級の元王者、マウリシオ・ショーグンと、リョート・マチダがそろい踏み。王座奪還へ向けて、それぞれ再出発の道を歩む!
8月5日(日)午前9:00〜[WOWOWライブ]※生中継
<主な対戦カード>
ライトヘビー級 マウリシオ・ショーグン vs ブランドン・ヴェラ
ライトヘビー級 リョート・マチダ vs ライアン・ベイダー


★UFC−究極格闘技− UFC150 激闘再び!ベンヘンvsエドガーII
2012年2月の日本大会で大激戦を繰り広げたベンソン・ヘンダーソンとフランク・エドガーが完全決着を付けるべく再激突!岡見勇信は日本大会の屈辱を晴らすべく再起戦に挑む!
8月12日(日)午前11:00〜[WOWOWライブ]※生中継
<主な対戦カード>
ライト級タイトルマッチ ベンソン・ヘンダーソン vs フランク・エドガー
ミドル級        岡見勇信 vs ホジマール・“トキーニョ”・パリャレス


★UFC−究極格闘技− UFC151 若き最強王者ジョーンズvs歴戦の雄ダンヘン
3戦連続防衛を果たしたライトヘビー級王者ジョン・ジョーンズに挑むのは、歴戦の雄ダン・ヘンダーソン。若き王者と百戦錬磨のベテランが、プライドを懸けて激突する!
9月2日(日)午前11:00〜[WOWOWプライム]※生中継
<主な対戦カード>
ライトヘビー級タイトルマッチ ジョン・ジョーンズ vs ダン・ヘンダーソン
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