レイズを戦力外…失墜したヒーロー・松井に突きつけられた残酷な現実
ついに訪れた戦力外通告
現地22日のマリナーズ戦、代打で遊飛に倒れ顔をゆがめる松井。この試合がメジャーラストゲームとなってしまうのか 【写真は共同】
この日の午前中、そのロバーツのロースタースポットを空けるためにレイズは松井秀喜に事実上の戦力外通告。40人のロースター枠から外された松井は、クラブハウスが開く頃にはすでに本拠地のあるフロリダに旅立っていた。
1日ごとが勝負であり、1日ごとにチームの景色はガラッと変わる。遅かれ早かれキャリア中で誰もが経験するメジャーリーグの厳しい現実は、ルーキー、中堅選手にも、元ワールドシリーズMVPだった選手にも、まったく同じように訪れる。
「ヒデキと通訳のロへリオ・カーロンの幸運を祈りたい。ヒデキの存在感は見事だった。真摯(しんし)な姿勢は常に変わらなかった。また再び出会えることを望んでいる」
自身のツイッター上でそんな心のこもった言葉を残したジョー・マッドン監督は、ゲーム前の会見でも松井への尊敬を強調する発言を盛んに繰り返していた。それらのセリフがお世辞だったとは思わない。知将・マッドンは松井の能力、実績、姿勢を信じ、これまでできる限りのチャンスを与えてきたようにも見えた。
話にならない結果に、ブーイングや批判記事も…
しかし、例えそうだとしてももう大きな違いはなかったのだろう。いずれにしても、あと数日の“延命”で終わっていたに違いない。サム・フルド、マット・ジョイス、ロバーツといったスターとすら言えない選手がロースターに加わるたび、松井の立場は少しずつ確実に厳しくなっていた。とにかく、打てなかった。
5月29日にメジャー昇格後、最初の3戦で2本塁打を放ったころまでは期待を持たせたが、以降は完全に失速。基本的に守備、走塁の貢献は期待できない選手が、打率1割4分7厘、2本塁打、7打点では話にならない。
特に7月2日以降は1本もヒットが出ず、最後の18打席で16打数無安打。そのうち11打席は走者を得点圏に置いた上での凡打だったことも、不振のイメージに拍車をかけた。この頃には、地元ファンからのブーイング、メディアからの批判的な記事も容赦のないものになっていた。