世界へ――武豊のドバイ戦記
スマートファルコンとともに歴史的快挙を
念願だったスマートファルコンとのドバイ参戦、狙うはもちろんワールドカップ優勝だ 【スポーツナビ】
翌2007年も武豊はドバイミーティングで勝利を挙げた。今度は3回目の挑戦となったドバイデューティフリーでアドマイヤムーンの手綱を取って見事に勝利。これでアドマイヤムーンは海を渡ったドバイで悲願のG1制覇を達成。武豊も日本人騎手として初のドバイG1を制し、その名をドバイ競馬史に刻んだ(シーマクラシックはステイゴールドが勝った翌年からG1に昇格、ゴドルフィンマイルはG2)。
ここまでのドバイでの実績を見ても十分に評価できる内容だが、恐らく彼としてはまだ満足には至っていないはず。それはもちろんドバイWC制覇を成し得ていないからだ。これは騎乗馬に恵まれること、遠征先での人馬の体調、レース展開などなど様々な要素がプラスに作用しないと達成できないことであり、国内のG1を制すよりもチャンスは極めて少ない。しかし、今年は一番肝心な騎乗馬という面でも申し分のないスマートファルコンがパートナー。以前から武豊が熱望していたスマートファルコンとのドバイ挑戦が現実のものとなり、ファルコンの調整も順調に進んでいる。恐らく武豊自身、これまでの騎手生活の中でも特別な海外遠征になると感じているはずだ。日本人ジョッキー初のドバイWC制覇という金字塔が打ち立てられることを期待したい。
(Photo & text by Kazuhiro Kuramoto)