世界へ――武豊のドバイ戦記

JRA-VAN

スマートファルコンとともに歴史的快挙を

念願だったスマートファルコンとのドバイ参戦、狙うはもちろんワールドカップ優勝だ 【スポーツナビ】

 武豊のドバイでの活躍は2001年以降も続いていく。2006年はゴドルフィンマイルでユートピアに騎乗。ここでも果敢な逃げからそのまま後続の追撃を振り切ってゴール。日本調教馬初の海外ダート重賞制覇を決めると共に、自身もドバイミーティングで2度目の勝利となる。さらにこの日はフラムドパシオンに騎乗したUAEダービーで3着。ドバイWCでもカネヒキリを4着に導いて存在感をアピール。余談となるが、ユートピアはこの勝利をキッカケにゴドルフィンにスカウトされ、移籍することが決まった。武豊の好騎乗によってユートピアの競走馬人生も変わったと言っても過言でない。

 翌2007年も武豊はドバイミーティングで勝利を挙げた。今度は3回目の挑戦となったドバイデューティフリーでアドマイヤムーンの手綱を取って見事に勝利。これでアドマイヤムーンは海を渡ったドバイで悲願のG1制覇を達成。武豊も日本人騎手として初のドバイG1を制し、その名をドバイ競馬史に刻んだ(シーマクラシックはステイゴールドが勝った翌年からG1に昇格、ゴドルフィンマイルはG2)。

 ここまでのドバイでの実績を見ても十分に評価できる内容だが、恐らく彼としてはまだ満足には至っていないはず。それはもちろんドバイWC制覇を成し得ていないからだ。これは騎乗馬に恵まれること、遠征先での人馬の体調、レース展開などなど様々な要素がプラスに作用しないと達成できないことであり、国内のG1を制すよりもチャンスは極めて少ない。しかし、今年は一番肝心な騎乗馬という面でも申し分のないスマートファルコンがパートナー。以前から武豊が熱望していたスマートファルコンとのドバイ挑戦が現実のものとなり、ファルコンの調整も順調に進んでいる。恐らく武豊自身、これまでの騎手生活の中でも特別な海外遠征になると感じているはずだ。日本人ジョッキー初のドバイWC制覇という金字塔が打ち立てられることを期待したい。

(Photo & text by Kazuhiro Kuramoto)

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