アントニオ猪木インタビュー「元気な試合を見せてくれ」

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『元気ですか!! 大晦日!! 2011』のゼネラルプロデューサーに就任したIGFのアントニオ猪木会長 【(C)DREAM OFFICIAL WEB SITE】

 12月31日(土)にさいたまスーパーアリーナにて開催されるFIGHT FOR JAPAN『元気ですか!! 大晦日!! 2011』のゼネラルプロデューサーに就任したIGFのアントニオ猪木会長にインタビュー。【取材日:2011年11月3日/記事提供:(C)DREAMオフィシャルウェブサイト】

「自分の持って生まれた使命みたいなものがこうさせてしまった」

「今年の大晦日は家でゆっくりできると思ったのにな」と冗談を語る猪木。日本の格闘技界はやはり彼なしには語れない 【t.SAKUMA】

──猪木ゼネラルプロデューサーから見て、今の格闘技界というのはどのように映っているのでしょうか?

猪木「『どうしてこんなに元気なくなっちゃったの?』っていう一言ですよね。それぞれみんなが、それぞれの方向を向いて頑張ったとは思うんですけど、そこはやっぱり時代に乗っていけてないというか、いろんな企業もそうですけど、始まりがあれば終わりがあってこの50年間の中でいろんなものが消えていった。でも、その中でうまくそのときの時代を見て変化を遂げていければ生き残っていけるんですけど、その変化ができなかったというのかな。結局、その原因は何にあったかというとファンが離れていったのが原因で、なぜそうなったかという原因は闘う魂が薄れていったというか、見えづらくなったのが原因だと思う」

──選手に闘う魂が足りなかったということですか?

猪木「いや、選手というより、業界の中にそれを指導する軸がなかったと思うんですよね。選手たちはいつの時代も、それぞれの思いで『強くなりたい』とか『勝ちたい』とか、いろんな選手がいる。そういった選手の魂をうまく指導していく軸がなかったので、せっかくいいものなのに潰してしまったり、違った方向に導いちゃっているという気がします」

──そういった中、猪木さんがゼネラルプロデューサーを務めるFIGHT FOR JAPAN『元気ですか!! 大晦日!! 2011』の開催が発表されました。

猪木「正直、迷惑ですよ!! 俺は(笑)」

──ええっ!?

猪木「まあでも、これはやっぱり、ファンのためにってことなんですよね。それでもやりたくないことだったらやる必要はないんですけど、ただやっぱり、自分の持って生まれた使命みたいなものがこうさせてしまった。俺はこれまで散々いろいろなことをやらせてもらって、もう悔いはないってくらい好きにやってきて、あえてここでまたエネルギーを燃やすというのは大変なことなんですよ。それはともかく、さっき言った軸を建て直すという部分が俺の役割だとすれば、その軸を新しい方向へというか、逆に言えば原点帰りさせる。それをファンが求めるというより、ファンはそこにこそ夢を抱くと思うんですね。そのためには業界が一つに力を合わせるというか、業界に大きな傘をひろげる。そういう傘があって、それぞれが勝手なことをやるのは構わない。そうじゃなくて、大きな一つの傘があれば、これから選手たちも事故とか起きたりすることだってあるわけですから、あまり保証という言葉は好きじゃないんだけど、そこに選手の保証というのも含めることができる。昔から言ってきたことですけど、その通りにならなくてここまで来ちゃいましたけどね。そういう大きな傘を広げるために、小さい大会、大きい大会、全部含めて、夢を抱いて1年の最後に大きい大会をやるという意味では意義があるんじゃないかと。まあ、誰かがもっと発展的なことを考えてやってくれれば、俺の出番はなくて済むのになって思うんですけどね。今年の大晦日は家でゆっくりできると思ったのにな(笑)」

「格闘技、プロレスが好きな人たちが集まって、お祭り的なものになればいい」

「震災というのは、逆に言えば、意識を変えるチャンス」と語る猪木は、日本に元気をという思いが人一倍強い 【t.SAKUMA】

──「大きな傘」という表現をされましたけど、小さい大会、大きい大会を先頭に立って束ねるのであれば、猪木さんのような影響力のある方でないと難しいと思います。

猪木「まあ、頼られるのはありがたいことですよ。今は世の中が乱れて混沌とした時代で、政治の世界を見ても、この業界と同じように中心的なもの、あるいは方向性がまったく見えないですからね。そこを一つ、来年に掛けての何かが見えるように。それで今はもうネットの世界ですから、日本だけじゃなく、世界の人たちが見ている。そういう部分で世界に通用するような、あるいは日本がリードして格闘技を発信していた時代がありましたから、そこをもう一回、日本を中心にして、そこから元気を世界に発信していくような。そしてそこが、メッカじゃないけども、世界の選手がそこに出ることが誇りみたいな形になればいいなと思います」

──そういった目的を持って『元気ですか!! 大晦日!! 2011』に着手していくと。

猪木 去年はただ主演しただけで、名前だけプロデューサーという形だったんですけど、今年はそうじゃなくなった感じなんでね。結局、ウチが動かなければ(大晦日イベントは)消えてしまいそうなのが現状なんでね。そういう意味では、俺のこだわりというのはありますけど、そのこだわりはちょっと横に置いといて、格闘技、プロレスが好きな人たちが集まって、お祭り的なものになればいいかなと。それに今、IGFに選手が寄って来ちゃっているんでね。今までは、逆に言えばウチはアントニオ猪木という部分だけでいけるので選手は抱えてきませんでしたけど、ここのところ1、2年の間に選手が何人も増えてきて、今、大型な選手が少ない中、鈴川(真一)とか鈴木(秀樹)とかはオランダに行って修行をしていますけど、そういった有望な大型選手もいる。(ジェロム・レ・)バンナや(ピーター・)アーツもいるし、日本人vs外国人という図式がファンにとっては面白いと思うんでね」

──これから大晦日に出場したい選手が名乗りを上げてくると思いますが、選手たちに期待するところというのはどこでしょうか?

猪木「震災があってからいろんな意識が変わったというか、それぞれ震災イベントとかやっていますけど、やはり人に対する思いやりとか助けあいとか、人に手を差し伸べるとか、儒教にある精神みたいなものは取り残されてきてしまっていたと思う。そういう意味では震災というのは、逆に言えば、意識を変えるチャンスだと思うんですね。もちろん被災された人たちは大変だと思う。でもそれだけじゃなく、やはりそれでも国家ですから。日本全土に生きている人たちが、これから明日の日本に向けての発想の転換をしないといけない。そのキッカケになるような元気な試合を見せてくれることを選手たちには期待します」

──今後、どのようなことが発表されていくのか楽しみです。今日はありがとうございました。

猪木「はい、どうも!」


■FIGHT FOR JAPAN『元気ですか!! 大晦日!! 2011』
◎日時/2011年12月31日(土)開場14:00 開始15:00(予定)
◎場所/さいたまスーパーアリーナ
◎主催/元気ですか!! 大晦日!! 2011実行委員会
◎協力/イノキ・ゲノム・フェデレーション株式会社、さいたまスーパーアリーナ
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