トーセンジョーダン、超速レコードで盾制覇!=天皇賞・秋

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天皇賞・秋は伏兵トーセンジョーダン(左)が驚愕のレコード駆けでGI初制覇! 【写真:中原義史】

 JRA古馬最高の栄誉を争う第144回GI天皇賞・秋が30日、東京競馬場2000メートル芝で行われ、ニコラ・ピンナ騎乗の7番人気トーセンジョーダン(牡5=栗東・池江泰寿厩舎、父ジャングルポケット)が優勝。中団待機の道中から、直線外を力強く伸びGI初勝利を飾った。良馬場の勝ちタイム1分56秒1は、2008年の天皇賞・秋でウオッカがマークした1分57秒2を1秒1も上回ると同時に、01年にツジノワンダーが新潟競馬場でマークした1分56秒4を0秒3更新する驚愕のレコードタイム。

 トーセンジョーダンはこの勝利でJRA通算16戦9勝、JRA重賞は4勝目。騎乗したイタリア人ジョッキーのニコラ・ピンナは日本GI初勝利。また、同馬を管理する池江泰寿調教師はオルフェーヴルで制した前週のGI菊花賞に続く2週連続GI制覇となった。

 なお、半馬身差の2着にはフランシス・ベリー騎乗の2番人気ダークシャドウ(牡4=美浦・堀厩舎)が入り、さらに半馬身差の3着に横山典弘騎乗の6番人気ペルーサ(牡4=美浦・藤沢和厩舎)。一方、1番人気に支持されていた岩田康誠騎乗のブエナビスタ(牝5=栗東・松田博厩舎)はさらに3/4馬身遅れる4着に敗れた。

驚愕の「1分56秒1」に場内どよめき

ピンナは日伊を通じて初のビッグタイトル制覇に喜び爆発 【写真:中原義史】

 秋の王道GIシリーズ第1ラウンドは、驚きの連続。伏兵トーセンジョーダンが突き抜けたことに東京競馬場はザワつき、電光掲示板に点った「1分56秒1」の超速タイムにスタンドがさらにどよめいた。

 日本の競馬ファンがあっけにとられる中、喜びを爆発させたのがトーセンジョーダンを天皇賞馬に導いた23歳のイタリア人ジョッキー、ニコラ・ピンナだ。
「イタリアでもGIを勝ったことがなかったし、自分の若いキャリアで日本のGIを勝てるなんて、本当にうれしい」

 今年はじめにGII日経新春杯(ルーラーシップ)、GI高松宮記念(キンシャサノキセキ)を制するなど荒稼ぎした同郷のウンベルト・リスポリに触発され、5月に初来日。2カ月の騎乗後、再び10月から日本での騎乗を再開し、短期免許が切れる最終日のきょう、夢のビッグタイトルを手中にした。

馬の状態と道中の流れと、すべてが完ぺきに合致した勝利

「完ぺきなレース運びだった」とピンナ、残り200mで勝利を確信 【写真:中原義史】

「パドックでまたがった時のトーセンジョーダンは、調教以上にいい状態だと思いました。自信を持ってレースに挑むことができました」

 完ぺきに運べた、と振り返ったレースは中団よりやや後方。ブエナビスタら有力馬より後ろの位置取りになったが、「速い逃げ馬がいたし、きょうの馬場なら速い時計が出るのは分かっていたから、ブエナビスタを見ながらレースをしよう」とピンナ。女傑をぴったりとマークする形で勝負どころの4コーナーを迎え、「ブエナビスタの手応えがちょっと怪しいかな」と見るや、すぐさま同じ池江厩舎のトゥザグローリーに目標をチェンジ。そして、ゴチャつくインを横目にしながら、直線外を豪快に差し切った。

「最後は無我夢中だったけど、残り200メートルで“勝てるかな”と思った。日本ではゴールする時にアナウンサーがいつも『ゴールイン!』って言うでしょ? だから僕も『ゴールイン! ゴールイン!』って叫びながら、最後はゴールに飛び込んだよ(笑)」
 そうおどけて、GI奪取の瞬間を振り返った陽気なイタリアン。馬の状態と道中の流れと、すべてが完ぺきに合致しての勝利だったと、日本競馬最高峰の1つである栄誉を噛みしめた。

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