なでしこ優勝に歓喜と称賛の声が続々=世界が伝えた日本の快挙

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沢主将「夢かなった」 世界一のなでしこ一夜明け

 【フランクフルト共同】サッカーの女子ワールドカップ(W杯)ドイツ大会で初優勝の快挙を成し遂げた日本代表「なでしこジャパン」の主将、沢穂希選手(32)=INAC=は18日、フランクフルトで「実感は日本に帰らないとなさそう。でも夢がかなってよかった」と決勝の激闘から一夜明けた心境を述べた。
 チームは日本時間19日朝に帰国する。
 沢選手は17日の決勝の米国戦でPK戦前に円陣を組んだ際、佐々木則夫監督(53)に対し「最後に蹴らせてくれと言った。PKは苦手なので、こんな大舞台では外せない」とお願いした裏話を披露。試合後、18日未明にホテルでの祝勝会に出席し、帰国の準備などで30分ほどしか眠らなかったそうだが「最後まで諦めないで走り続けるという、なでしこのいいところが出せた」とさわやかな表情を見せた。
 1得点に加え、沢選手の2点目をアシストした宮間あや選手(26)=岡山湯郷=は「ほとんど寝ていない」と眠そうな表情。祝福のメールがたくさん届き「感動をありがとう、という内容が多かったのがうれしかった。自分たちには運を引き込む力があった」と振り返った。

[共同通信]

苦悩越え「周囲に感謝」

 所属していた「東京電力マリーゼ」は福島第1原発事故を受けて活動を休止した。なでしこジャパンの鮫島彩選手(24)は苦悩を重ねたが「大舞台で活躍して周りのみんなを元気づけたい」との思いでサッカーを続け、見事栄冠を手に。決勝戦の後、支えてくれた人たちへの感謝の言葉を口にした。

 チームの本拠は福島県。「サッカーどころじゃない」という状況に陥った。それでも気持ちが途切れなかったのは、周囲の激励とワールドカップ(W杯)があったからだ。「ドイツで活躍して、マリーゼのファンや仲間に元気を出してもらおう」
 小学1年の時、栃木県の女子チームでボールを蹴り始めて以来、サッカー一筋。ただ、グラウンドに出る時には日焼け止めを欠かさず、休みの日には買い物を楽しむ一面も。父俊裕さん(55)は「オフには女の子らしいんですよ」とほほ笑む。

 W杯では左サイドバックとして全試合に出場。小学生のころから鍛えてきた切れ味鋭いドリブルを生かして攻撃にも参加し、優勝に大きく貢献した。宇都宮市の自宅でテレビ観戦した俊裕さんと母佳代子さん(52)は「優勝メンバーに、わが子がいるのがうれしい」と涙を見せた。

 試合後のインタビューで「東京電力から移籍することになって、特別な思いで大会に臨んだのではないか」と問われた鮫島選手。「この場に立っていられるのはたくさんの方が支えてくれたおかげ。私に関わってくださったすべての皆さんに心から感謝したいです」。言葉を選びながらも、お礼の気持ちを示すことを忘れなかった。

[共同通信]

熊谷、世界一のPK決める

 世界一を決めた日本の4人目のPKを蹴ったのは先発では最年少の20歳、DF熊谷だった。ゴールに突き刺し「自分が蹴るとは思っていなかったのでびっくりした。責任はあったけれど、気負うことなくリラックスして蹴れた」と仲間と歓喜の輪をつくった。

 チーム最長身171センチの守備の柱は全6試合にフル出場。決勝ではFWワンバックに食らいつき、1点は許したが米国のエースを苦しめた。今後の日本を背負うセンターバックは「優勝できたけれど、私にとってはゴールじゃない。いろんなことを試せた通過点。スピードやパワーをもっとアップしていかないと」と自覚も十分だった。

[共同通信]

前線駆け回った川澄

 川澄が前線を駆け回った。安藤との2トップで先発して精力的にプレスをかけた。MF大野が交代した後は右サイドに移り、激しく上下動した。チーム一のスタミナ自慢は「自分はずっと試合に出ていたいので、途中出場の方が疲れる」と120分間走っても涼しい顔だ。

 大会初先発となった準決勝のスウェーデン戦で2点を決めたシンデレラガール。快挙に「うれしいけど、まだ夢を見ているよう。漫画か映画しかないです。こんな勝ち方」と興奮は冷めやらなかった。

[共同通信]

<了>

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