大沢ケンジインタビュー「一番脂が乗るのって三十を越えてから」=7.16DREAMバンタム級日本3位決定戦

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7.16DREAMバンタム級日本トーナメント3位決定戦を前に、大沢ケンジが自らの格闘技論を展開 【(C)DREAM OFFICIAL WEB SITE】

 7・16FIGHT FOR JAPAN『DREAM JAPAN GP FINAL −2011バンタム級日本トーナメント決勝戦−』(有明コロシアム)にて行われるバンタム級日本トーナメント3位決定戦に臨む大沢ケンジにインタビュー。藤原敬典戦に向けての意気込みを語った。

(取材日:2011年6月21日/記事提供:(C)DREAM】

■「大塚君は何故負けたのか分かっていないのかも知れませんよ」

──まずは5月のバンタム級日本トーナメント1回戦、準決勝を振り返っていただきたいのですが、準決勝直後の映像を見ると「一日2試合は気持ちが続かない」ということをおっしゃっていました。

大沢 やっぱり厳しかったですね。大塚戦に全部を集中していて、今成さんが上がってくるだろうなとは思っていたんですけど、まったくと言っていいほど準決勝のことは考えていなかったんですよ。今成さんは足を狙いに来るだろうと思っていたので、「蹴って蹴って蹴りまくろう」と思っていたくらいで。そうしたら大塚戦で足を痛めて蹴られなくなっているという(笑)。だから、正直、準決勝戦はやりたくない気持ちのほうが強かったんですよね。相手が今成さんだからとかじゃなく、1試合で気持ちを使いきっていたし、蹴ろうと思っていたプランも実行できないし、とにかく足が痛かったのであまり立っていたくなかったし。そうなるともう「突っ込んでいくしかないな」という。まあ、やってみて思ったのは、一日2試合というのは、強さを競うというよりかは精神的なものも含めた人間力が試されるなと。今成さんも同じ条件で2試合闘っているわけで、「集中力がもたない」と言っても今成さんはそれで勝ったわけですからね。集中力、精神力、体力、人間としてのトータルの力が僕より優っていたということです。

──1回戦は優勝候補の呼び声高かった大塚隆史選手を完封しました。

大沢 僕の中では大塚君のやりたいことは全部潰したので完勝したつもりだったんですけど、判定が割れたじゃないですか。

──2−1でした。

大沢 僕の完勝だったという声がほとんどなんですけど、「大塚の勝ちだったんじゃないか?」とか、そういう声も聞こえるわけですよ。「大塚サイドは疑いようもなく自分たちが勝っていたと思っていたらしい」という声も聞こえて、実際、判定が割れているので、もうちょいやりようがあったのかなと。判定に文句があるわけじゃないですよ。判定というのは人に判断を委ねることで、それが嫌なら倒せばいいだけの話ですからね。だから大塚君に一人入ったときも、ジャッジに対してどうこうという気持ちはまったくなくて、「自分とは違う試合の見方があるんだな」と。そこが見えていなかった自分に対して反省するだけでしたから。

──「大塚君のやりたいことは全部潰した」とおっしゃっていましたが、どういったプランで大塚戦に臨んでいたのですか?

大沢 僕がサウスポーに構えたときというのは、いつでも速いミドルを打てるフォームになっているのです。野球で言うと、ピッチャーが振りかぶってからボールを投げるんじゃなくて、ボールが手から離れる直前の状態でずっと構えていて、そこからビューンってボールを投げ込むような。

──相手からすると今にも速いミドルが飛んで来るように見えるということですか?

大沢 そうそう! しかも、左ミドルと前蹴り、その試合では出せなかったんですけど左ストレート、この3つが同じフォームから出せるので、相手にとっては的が絞りにくい。どの攻撃かは分からないけど何かが今にも飛んできそうだという雰囲気は相手に伝わっていて、実際こっちもそのどれかを出そうとしているので、相手は簡単に入ってくることができない。入ってきたらきたで、ミドルや前蹴りをバンバン当てる自信もありますし。でも、大塚君は何故負けたのか分かっていないのかも知れませんよ。「なんか分からないけど行けなかった」という感じだと思います。

「篤君より藤原選手のほうが嫌だなというのはあります」

──当初、3位決定戦の相手は山本篤選手だったのですが、負傷のため欠場。山本選手の代わりに藤原選手が出場すると聞いたときはどんなことを思いましたか?

大沢 正直、闘い方がガラッと変わるかもしれないし、藤原選手のイメージがあまり僕にはないので、ちょっと大変だなと思いましたね。今の僕の闘い方というのは、誰が相手でも自分の闘いをするというのではなく、しっかり相手を研究して自分のスタイルをアジャストさせるという闘い方なんです。だから、あまり時間のない中で、あまりイメージのない選手と闘うのは大変だなと。そういう意味では、篤君より藤原選手のほうが嫌だなというのはあります。試合の組み立てがしづらいという意味で。

──1回戦で負けた藤原選手と3位決定戦で当たることに関して違和感はありませんでしたか?

大沢 それは一切ないですね。今成さんとの試合は、僕は藤原選手が優勢だったかと思っていたくらいですので、そこはやる意味もあると感じています。

──「イメージがあまりない」とおっしゃっていましたが、情報が少ない中でも藤原選手に対してはどういった印象を持っていますか?

大沢 よく今成さんを凌いだなっていう。僕は極められましたからね。今成さんを凌いだというのは本当に凄いことだから、それは評価しないなんてありえないでしょう。しかも、チャンピオンですよね。

──ZSTのバンタム級チャンピオンです。

大沢 だから、勝負根性があるのか、勝ち方を知っているのか、何か強さがあるんだと思います。

──記者会見で藤原選手は師匠である秋本じんさんの仇を討つということを言っていました。

大沢 なんか無理やりっぽいですよね(笑)。そんな前の話を出して「嘘でしょう!?」って思いましたもん。それを僕も一緒になって言うと無理やり盛り上げているように見えて、なんか嫌だなと(苦笑)。

──藤原選手のコメントに対してスカし切っていました(笑)。

大沢 そのスカすのもわざとっぽく聞こえちゃうと嫌だったので、なるべく本当に思ったことを答えようと心がけました。

──藤原選手の「KOか一本しか考えていない」という発言に対しては?

大沢 ZSTの人って多分、みんなそうですよね。僕もそうありたいんですけど、試合中、冷静に「いつも行けないなぁ……」と思いながら闘っていたら試合が終わっているというね(苦笑)。でも、今成さんとの試合のときみたいに、集中しきれないで、早く終わりたいからガンガン行くみたいな感じで行くと、ああいう結果になるし。だから、難しいところですよね。冷静でいながら前に出られたらいいんですけど……。まあ、やっぱり僕は勝てばいいや。

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