女王対決はアパパネ劇勝! ブエナビスタを真っ向撃破=ヴィクトリアマイル

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福島へ勇気を届けるGI5勝目、さあ次は安田記念

最強マイル王へ、いざ安田記念で牡馬を討つ! 【スポーツナビ】

 ブエナビスタに勝った。もちろん、それもこの上なくうれしいことだが、アパパネと蛯名にとってこの時期のビッグレース制覇は、もう1つの大きな意味を持つ勝利だった。蛯名が語る。
 「アパパネは福島でデビューした馬なんです。そのアパパネがこうして大きな舞台で活躍することで、少しでも福島の被災地や被災者の方々の励みや、力になれば、という気持ちですね」

 世代交代を大きくアピールし、そして福島へ勇気と希望を届ける勝利を飾ったアパパネ。次の目標は同じ舞台の府中1600メートル、春のマイル王決定戦・GI安田記念だ。
 「今後もこのまま無事に使っていきたいですね。何もなく順調に行ければ、次は安田記念になりますね」(国枝調教師)
 ブエナビスタを負かした上で、GIの数もブエナビスタと並んだ。このアパパネもまた、“牝馬”というくくりで語るには失礼なレベルに到達しつつあるのかもしれない。ただ、本当の意味でウオッカ、ダイワスカーレット、ブエナビスタ級に肩を並べるには、混合GIのタイトルが是が非でもほしい。次は牡馬を負かしての“現役最強マイラー”へ、アパパネはどこまでも高く飛び続ける。

ブエナビスタ千六は短かったか、宝塚で反撃へ

敗因は距離適性の差か……宝塚記念で反撃だ 【スポーツナビ】

 現役最強牝馬の意地は見せた。3F34秒0の数字はメンバー最速の上がり脚。だが、結果は2着。牝馬同士なら実力断然と見られていたブエナビスタにとっては、厳しい現実となってしまった。
 「よう走っとると思う。相手(アパパネ)がそれ以上に走ったということやろう」
 勝者アパパネの走りを称えつつ、時折り笑みも見せながら松田博資調教師がレース後に語った。敗因を求めるとしたら、やはり距離適性ということになるのかもしれない。トレーナーが続ける。
 「マイルがどうかなと思っていたからな。やっぱり2000メートル以上の方が安心して見ていられる」
 阪神JF、桜花賞と2つのマイルGIを制してはいるものの、3歳時から「距離が伸びてこその馬」と言い続けていた指揮官。事実、古馬になってから天皇賞・秋、ジャパンカップなどで発揮したパフォーマンスを見る限り、今のブエナビスタにはマイルは短すぎたか。

 一方、初騎乗で大役を任された岩田は「アパパネを見る形でいい感じで行けましたし、追い出しもいいタイミングだったと思いますが、前に取り付く脚がちょっと……。坂を上がってからグンと伸びてくれたんですが……。休み明けの分でしょうか」と、勝負どころで置かれてしまったことを悔いるコメントを残している。

 牝馬同士でまさかの敗戦となったブエナビスタだが、ドバイでの大敗ショックが残っているとは思いたくない。松田博調教師は気持ちを切り替え、次なる目標・GI宝塚記念(6月26日、阪神2200メートル芝)へと視線を向けた。
 「ドバイから帰ったあとの調整としては去年より楽だったからな。何もなければ次は宝塚記念。もうちょっと良くなるだろうし」
 雪辱の舞台は距離が伸びる春のグランプリ。そこで最強女王の真の底力を見せつけるしかない。

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